中国WeChat「ミニプログラム」の状況~ネット利用時間の3分の1はWeChatに
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中国において、インスタントメッセンジャーアプリ「WeChat(微信)」が生活上、仕事上において大きな存在となっていることはよく報じられている。WeChatなしでは人との交流に支障をきたすのみならず、生活も不便になるほどだが、その状況が加速しつつある。その状況をもたらしているのが、WeChatの「ミニプログラム」の充実および「スーパーアプリ」化である。
ミニプログラムとは、あるアプリ内で利用できるほかのアプリ、いわばアプリのなかのアプリであり、このミニプログラムが集まっているプラットフォームがスーパーアプリと呼ばれるようになっている。日本で例を挙げると、LINEがスーパーアプリの1つであり、LINE Pay、LINE MUSICなどがミニプログラムである。
TTU(株)(福岡市博多区)がこのWeChatミニプログラムを活用したビジネスに関するオンラインセミナーを27日に開催した。以下、セミナーの内容にそって紹介する。
WeChatの存在感は利用時間の長さから理解できる。中国のスマホユーザーの1日のネット利用時間は約273分であり、その3分の1の約91分はWeChatを利用しているという。LINEはその3割弱の26分だ。一日の生活を例にとると、朝起きて天気予報、ニュースのチェック、出勤の際のシェア自転車、地下鉄乗車、昼食および飲み物の出前、ショッピング、夕食のレストラン探しと予約、タクシー配車、移動中や帰宅後の音楽鑑賞、ドラマや動画の視聴、そして決済などのすべてがWeChat内ミニプログラムにて行える。
ミニプログラムの利点は何か。ユーザーサイドに立ってみれば、(1)ダウンロードが不要であるため、手間が省けるし、スマホの待ち受け画面がスッキリし、容量も節約できる。(2)スーパーアプリで認証を済ませているため、新たに登録する手間も省ける。(3)決済はWeChat Payで行えばよく、簡素化できる。提供する企業サイドにとっては、(4)普通にアプリを開発するよりもコスト、期間を削減できる。(5)一からアプリを育てるよりも、顧客を獲得しやすい。(6)顧客情報が一元化され、データ分析もしやすいなどであるという。
ミニプログラムを提供する中国の他のスーパーアプリはほかにもあるが、WeChatが規模面で頭1つ抜けている、月間アクティブユーザー数で見るとWeChatが7億なのに対し、Tモール(アリババ)が4億、バイドゥ(百度)が3億であり、抖音(日本でTik Tokを運営するバイトダンス)などがそれに続くという状況だという。
なお、ミニプログラムでEC店舗を設立するには運営会社テンセントの審査に通る必要がある。TTU社はミニプログラムへの進出支援サービスのWeMartを運営し、この点を含めたワンストップのサポートサービスを提供している。
【茅野 雅弘】
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