バッシングを浴びる「ツタヤ図書館」に見る増田宗昭氏の仕事術(後)
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5,500万人を突破したTカード会員
増田宗昭氏は、自身が自慢するように「常識の破壊者」だ。その成功例が、ポイントカードだ。2003年10月、共通ポイントサービス「Tポイント」を開始した。ユニークな点は、ポイントシステムを外部に開放したことだ。通常、ポイントの発行は顧客の囲い込みのために行われるもので、発行元の店以外では、利用できない。
CCCは異業種と提携して、TカードならTSUTAYAで貯めたポイントをコンビニやガソリンスタンドで使えるようにした。使い勝手が受けてTカードの発行枚数は、08年8月3,000万人、12年5月4,000万人、14年10月5,000万人を突破。現在は5,500万人。国民の2人に1人がTカードを持つ。国民的なカードと評判になった。
提携先企業はTカード利用者に発行したポイント数に応じて、CCCにシステム使用料を支払う。これがCCCのカード事業の収益になった。非上場化してビジネスモデルを転換
カードビジネスは当たったが、本業であるDVDのレンタルは、スマートフォンやタブレット端末を軸にしたネット配信の急速な普及に押されて減収を辿る。そこで、増田氏は2011年7月、MBO(経営者が参加する買収)を実施、非上場化。DVDのレンタル会社から企画会社にビジネスモデルの転換を図る。
増田氏が言う企画とは、これまで世の中になかったビジネスを生み出すことだ。ポイントカード事業が典型。単なるレンタル店のポイントカードを、他の企業と提携することで大きなビジネスに育てることに成功した。
Tカードとともに注力しているのが生活提案型の複合商業施設「T-SITE」の開発。東京・代官山を皮切りに神奈川県藤沢市に開業。さらに大阪・枚方市の近鉄百貨店跡にも建設中だ。
既存の書店のように、品揃えだけで勝負しては、ネット書店には勝てないと考えた。コーヒーを飲みながら本を自由に何時間でも読むことができるなど、ネットとは対極の居心地を追及した。カフェ併設の大型店は当たった。
その2匹目のドジョウを狙ったのがツタヤ図書館だ。図書館というより、カフェ併設の大型店の1つと考えればわかりやすい。武雄市図書館が今年9月に追加で購入した図書1万冊はすべて中古本だった。図書館は中古本を貸し出し、新刊本は併設する蔦屋書店での購入を促す。それがツタヤ図書館のビジネスモデルである。(了)
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