2024年12月24日( 火 )

九州地銀の20年3月期決算を検証する(4)

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【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年3月期の純資産残高順位表である。
~この表から見えるもの~
<1位~9位>
◆1位は福岡銀行で、純資産は前期比▲454億円の6,246億円(前期比-6.78%)で、マイナスの主因は評価・換算差額等の▲400億円。総資産は前期比+1兆2,933億円の18兆38億円(前期比7.74%増)と、大幅に増加している。
・自己資本比率は前期より+0.19%の9.37%。
◆2位は西日本シティ銀行で、純資産は前期比+4億円の5,091億円(前期比0.08%増)。総資産は前期比+3,802億円の10兆5,989億円(3.72%増)。
・自己資本比率は前期より-0.03%の9.58%。
◆3位は鹿児島銀行で、純資産は前期比▲120億円の3,125億円(前期比-3.70%)。総資産は前期比+4,558億円の5兆358億円(9.95%増)で、九州地銀18行のトップの増加率。
・自己資本比率は前期より-0.10%の10.25%。
◆4位は肥後銀行で、純資産は前期比▲130億円の2,984億円(前期比-4.17%)。総資産は前期比+1,872億円の6兆189億円(3.21%増)。
・自己資本比率は前期より-0.42%の10.31%で、鹿児島銀行を上回っている。
◆5位は大分銀行で、純資産は前期比▲134億円の1,885億円(前期比-6.64%)。総資産は前期比+652億円の3兆3,930億円(1.96%増)。
・自己資本比率は前期より+0.04%の10.01%となり、10%超えとなっている。
◆6位は親和銀行と10月1日に合併予定の十八銀行で、純資産は前期比▲123億円の1,499億円(前期比-7.58%)。総資産は前期比+1,022億円の3兆320億円(3.49%増)。
・自己資本比率は前期より-0.43%の10.83%。
◆7位は宮崎銀行で、純資産は前期比▲33億円の1,485億円(前期比-2.17%)。総資産は前期比+2,234億円の3兆3,250億円(7.20%増)。
・自己資本比率は前期より+0.07%の8.32%。
◆8位は十八銀行と合併予定の親和銀行で、純資産は前期比▲115億円の1,208億円(前期比-8.69%)。総資産は前期比▲634億円の2兆8,133億円(-2.20%)。上位地銀のなかでは唯一マイナスとなっている。
・自己資本比率は前期より-0.43%の9.54%。
◆9位は佐賀銀行で、純資産は前期比▲57億円の1,147億円(前期比-4.73%)。総資産は前期比+896億円の2兆5,598億円(3.63%増)。
・自己資本比率は前期より-0.12%の8.03%。佐賀銀行までの9行が、純資産残高1,000億円以上となっている。
<10位~18位>
◆10位は北九州銀行で、純資産は前期比▲24億円の999億円(前期比-2.35%)。総資産は前期比+268億円の1兆3,389億円(2.04%増)。2011年10月3日、山口FG傘下の山口銀行の九州にある支店を分割譲渡して創業した日本で一番新しい地銀。
・自己資本比率は前期より-0.13%の11.02%で、九州地銀18行のトップ。
◆11位はふくおかFG傘下の熊本銀行で、純資産は前期比▲51億円の858億円(前期比-5.61%)。総資産は前期比+1,921億円の2兆4,407億円(8.54%増)で、増加率はトップの鹿児島銀行につぐ2位。肥後銀行を相手に善戦している。
◆12位以下は次の通りとなっている。
・12位  宮崎太陽銀行    純資産445億円     総資産    7,045億円  自己資本比率9.72%
・13位  南日本銀行    純資産409億円     総資産    7,891億円  自己資本比率8.22%
・14位  筑邦銀行    純資産322億円     総資産    7,864億円  自己資本比率7.20%
・15位  豊和銀行    純資産302億円     総資産    5,784億円  自己資本比率8.47%
・16位  福岡中央銀行    純資産291億円     総資産    5,167億円  自己資本比率8.24%
・17位  長崎銀行    純資産150億円     総資産    2,859億円  自己資本比率8.21%
・18位  佐賀共栄銀行    純資産136億円     総資産    2,580億円  自己資本比率8.43%
※筑邦銀行の純資産は前期比▲73億円(-18.48%)。九州地銀18行のなかで、減少率が1番高くなっている。
※この7行のなかで総資産が増加しているのは宮崎太陽銀行だけ。筑邦銀行は第一地銀であるが、残り6行の第二地銀も第一地銀との競争で厳しい経営状況にあるのが読み取れる。
<まとめ>
 日銀のマイナス金利政策にコロナショックが加わり、九州地銀の経営は一段と厳しくなっている。金融グループに所属していない地銀、とくに第二地銀は、今まさに、経営統合の道を急がなければ、「座して死を待つ」状況にあるのではないだろうか。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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