マスク製造に続々参入(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
このような状況下で、コロナショックがすぐ終息するのではないかと思い、参入をためらっていた企業は、新型コロナウイルスはもっと長期化すると判断し、100台規模の大掛かりの投資に踏み切った。そのような企業は、筆者が聞いただけでも数社ある。マスクの製造装置で一番評判が良いのは中国製であり、中国に製造設備の発注をかけているという。機械1台あたりの金額は1億5,000万ウォン(約1,350万円)くらいで、マスク事業は遅くとも三カ月以内に投資金を回収できるという。韓国ではいろいろなところがマスク製造に参入したことで、品薄状態はとっくに解決されている。
しかし、いつ韓国にも第2の波が来るかわからないし、諸外国ではまだコロナウイルスが続くという判断で投資は行われているようだ。ところが、季節が夏に変わるにつれてマスクの需要も変わり、通気性の良い布マスクなどが人気を博している。布マスクの場合には、すでに1枚価格500ウォンマスク(約45円)も、出回るようになっていて、マスクバブルは終焉しつつある。それに、布業者、縫製業者、アパレルメーカーなどがこぞって、マスク製造に参入しつつある。コロナショックで売上が減少し、それを補うための目的のところもあれば、収益にはならなくても、このような時期に社会貢献することを目指すなど、その方向性はいろいろであろう。
日本でもユニクロがマスクを生産するというニュースが話題になっている。海外でも、ルイビィトン、グッチなどの有名ブランドも、デザイナーズブランドの高価なマスクを発売し、完売したというニュースがある。マスクの色やデザインを変えたマスクや、洗えば繰り返し使えるマスク、PM2.5や紫外線をシャットアウトできるマスクなど、マスクの種類も多様化している。
最後にマスクの主な素材はポリプロピレンで、ポリプロピレンは石油化学工場でナフサを分解する際に生成されるもので、それを重合してつくられる熱可塑性樹脂である。マスクの材料である不織布は、ポリプロピレン素材を高温で溶かし、高温の風を吹かせ、圧力などを加えて製造する。そのようにマスクにはさまざまな素材技術が生かされている。
そのなかでも、最近ナノマスクというのが注目を集めている。ナノファイバーの研究が盛んに進み、100ナノ以下の超極細の繊維をナノファイバーという。ナノファイバーは体積に比べ、表面積が大きいのが特徴である。それで、微細粒子やバクテリアなどは通さないが、汗などは通し、通気性にも優れているようだ。通気性が良いため、既存のマスクに比べ、圧力損失(呼吸のしやすさの指標)も30%くらい減少するのがメリットだという。これ以外にも、吸着性や吸収率などにも優れているため、いろいろな分野へ活用が期待されている。
コロナショックで、個人衛生が重視され、今後マスクをつけるような習慣は定着しそうだ。所得水準によって、マスクにも貧富格差が現れ、マスクを見ただけで、相手を判断できる時代がくるのではないかという嫌な予感もする。新型コロナウイルスを発生させた中国は新型コロナウイルスでマスクや機械装置を売って儲けており、世の中は皮肉なものである。
(了)
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