元総統選国民党候補の韓国瑜・高雄市長が失職~台湾初の市長リコールが成立
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6月6日、台湾南部最大の都市で直轄市である高雄市において、韓国瑜(国民党)・同市市長に対する罷免投票が実施され、賛成多数で韓市長の失職が決定した。台湾において、選挙で選ばれた市長が市民のリコールによって失職するのは初めて。後任を決める市長選は9月6日までに実施される。
台湾の公選法上のリコールの成立要件は賛成票が有権者総数の4分の1の以上かつ反対票を上回ること。高雄市の有権者数は約230万人であり、約57万5,000票が基準となる。投票結果は、賛成票が93万9,090票で反対票が2万5,051票で賛成が圧倒的多数だった。
単純に比較はできないが、この93万という票数は、18年の市長選での韓氏の得票数89万2,545票を上回った。韓氏はわずか1年前には次期総統有力候補としてこの世の春を謳歌していた。
政界は正に一寸先は闇である。韓氏は、2018年11月の台湾統一地方選挙において民進党の地盤である高雄市長の国民党公認候補となり、当初は泡沫候補扱いながらポピュリスト的な言動が人気を集め、「韓流」と呼ばれるブームを巻き起こし、同選挙における国民党の地滑り的勝利の象徴となった。そこで韓氏に国民党候補として総統選出馬を求める声が挙がった。党内の実力者や総統候補に名乗りを上げたフォックスコン創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏らを党内予備選で抑えて同党総統候補に上り詰めた。
しかし、韓氏は高雄市長就任当初、高雄市長の職務に専念すると表明していたにもかかわらず、その後出馬へと態度を変えたことや、選挙期間中に自身の実績や過去の行動をめぐる報道が出てくるにつれて支持率を下げていき、今年1月の総統選でも惨敗した。この間に高雄市民の不満が高まり、3月には市長罷免を求める市民団体が署名を約40万人分集めてリコールを請求していた。そして今回のリコールで、韓氏は自身をスターダムに押し上げた高雄市民によって、市長不適格の烙印を押されてしまった。
【茅野 雅弘】
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