『脊振の自然に魅せられて』「10年ぶり、ネジキの花と感動の対面」(捩木ツツジ科ネジキ属)
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幹の模様が捻れた樹木をネジキといい、この花の名前は幹の捻れに由来します。
ですから捻れ模様の若木はネジキと判別しやすいのです。10年ほど前、脊振の縦走路を歩いていると白い米粒状の花が登山道にたくさん落ちていました。「不思議なかたちの花だ、名前はなんだろう」と思い、頭上を見上げても、この花を確認できませんでした。
ある年、脊振の縦走路を気象レーダーから金山方面へ歩き日本庭園の場所へ出たとき、目の前に白い花をたくさんつけた樹木を見つけました。
白い米粒状の花を細い枝に1列になってたくさんの花を付けていました。
帰宅して、この不思議なかたちをした花を調べるとネジキの花とわかりました。
それから毎年、この場所にネジキの開花を確認に来ましたが、遭遇できないまま年月が過ぎました。
この米粒状の花は、私にとって幻の花となっていました。今月、6月20日(土)、雨も上り、久しぶりに金山のブナ林観賞の山旅へ出かけました。雨上りの縦走路は雲で覆われ、博多湾から脊振の山並みに吹き上げる風は強く木々の葉を揺らしていました。
佐賀県側の金山脊振林道の小爪峠登山口から金山方面の縦走路に入ったとき、登山道に白い米粒状の花がたくさん落ちていました。ネジキの花びらです。
「やっと出会った」と私は小躍りしました。
風で揺れている木を見上げましたが、白い花は見あたりません。捻れた幹を探しましたがネジキの幹も見つかりません。「帰りにも一度確認してみよう」、美しいブナ林がある金山方面へ進みました。縦走路を15分ほど登ったとき、また白い米粒の花びらが登山道一面に広がっていました。見上げると、5m上の幹の小枝に探し求めていたネジキの花をたくさん付けていました。
風に揺れていましたが、確かにネジキの花たちです。それも広がる小枝にすべてに花を付け、小枝に1列になって仲良く並んで咲いているのです。
これがネジキの花の特徴です。
雨上がりの早朝でもあり、花は雨露をたくさん含み太陽の日差しに輝いていました。
撮影には距離があり、風に揺れぶれた写真となりましたが、何枚も撮影しました。
この木はネジキの特徴の捻れがない老木で、幹のかたちを基に見つけるのは難しい木でした。縦走路をさらに進むと、ネジキの落花を少しずつ見かけました。
今年はネジキのあたり年かもしれないと思いました。自然条件の厳しい山間部では樹木の花は毎年咲いてくれません(花の数が少ない)。ツクシシャクナゲやハイノキもそうです。縦走路には淡いオレンジ色のヤマツツジが彩りを添え、新緑の金山の裾野に白い花の木が点々と見えています。梅雨時分に咲くヤマボウシです。
脊振では4月から6月にかけ樹木の白い花たちが山を賑わせます。美しいブナの縦走路を通り過ぎ、新緑の木漏れ日がすばらしい登山道を登り終えると金山の肩に着きました。
そこで男女3人が食事をしていました。その側で白い米粒の花びらが落ちているのを見つけました。
「ここにもネジキがあるのか」。
高い幹に咲く白いネジキの花は青空にすい込まれて見えた。雲に覆われていた山は、天候も昼頃は回復し晴天となっていました。金山の山頂まであと3分だ、新型コロナ対応のため、できるだけ人と密に接したくないと思い、登山道を引き返しました。
帰りにも一度、最初に遭遇した登山道のネジキの幹の確認をしました。
風も止み、頭上に咲くネジキの花を見ることができました。
ネジキの花と10年ぶりの対面でき、感動の山旅となりました。土曜日でもあり、普段より人出が多かったこの日は登山者とすれ違うことも多く、身を屈めてすれ違うように心がけました。
新型コロナ対応が自然と我が身にしみついているのです。車に戻り、除菌スプレーを身体中にかけました。
車を走らせると、「ばさっ」と何かが落ちてきました。緑色のアマガエルがサイドミラーにへばり付いてきたのです。
吸盤があるのでしばらく走っても、サイドミラーにへばりついたままです。
普段なら可愛いと思いますが、車を止めてアマガエルをつかんで林のなかに投げ込みました。そして思わずカエルをつかんだ手に除菌スプレーをかけました。2020年6月23日
脊振の自然を愛する会
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