前駐ベトナム大使・梅田邦夫氏特別講演レポート「日本にとってのベトナムの重要性」(13)
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NetIB-Newsは、DEVNET INTERNATIONALから提供いただいた前駐ベトナム日本国大使・梅田邦夫氏の講演レポート((公社)ベトナム協会)をお送りする。今回は「2017年の天皇・皇后両陛下の訪越後の両国の民間交流の進展」について。
4.最後に
以上、安全保障分野と深刻な労働力不足問題を中心に日本にとってのベトナムの重要性について述べました。
ベトナムは現在、歴史的転機を迎えており、政治・経済分野を含めさまざまな国内改革を実施中です。「中身」が大きく異なるとはいえ、社会主義国を標榜している国は、世界で5つ(中国、北朝鮮、ラオス、ベトナム、キューバ)のみです。
ベトナム共産党は、すでに中国共産党とは異なる自分たちの進むべき道を模索していますが、中国共産党の行く末は、ベトナム共産党に少なからぬ影響を与えます。
今後、米中の覇権争いが一層激化すると予想されるなかで、ベトナム共産党が、国際社会においてどういう立ち位置を取ろうとするのか、また、国内改革をどのように進めていくかは、地域の将来にも影響する重要課題です。そういう観点からは、中国共産党とベトナム共産党との違い、ベトナムの改革の方向性を引き続き注視していきたいと考えます。
最後に2017年の天皇・皇后両陛下の訪越に関連して、新たなフォローアップが行われています。3点紹介して、今回の講演を終了させていただきます。
(1) 残留日本兵とその家族に関し、今年5月末、小松みゆき氏が、「動き出した時計、ベトナム残留日本兵とその家族」を出版された。
(2) 18年9月、常林寺の境内にある「浅羽佐喜太郎公記念碑」が建立百周年を迎え、「百周年記念事業」が実施された。また、同年11月、両陛下は袋井市の常林寺とチャウ・浅羽医師の「交流資料館」を御訪問されました。
静岡県袋井市の「浅羽ベトナム会」は、「百周年記念誌発行」を最後の業務として活動を終了。代表の安間氏によると、「浅羽ベトナム会」の活動目的は、「浅羽佐喜太郎記念碑の歴史」を日越両国のできるだけ多くの方に知ってもらうことであったが、両陛下のフエと袋井市への御訪問などを通じ、所期の目標は達成されたとのことでした。また、安間氏は、個人として、ノンフィクション「ベトナム物語」(仮称)を出版すべく準備中の由です。
(3) 日本の童話普及ーー皇后陛下からの激励後、弾みがついた、勝恵美さんとヒエンさんが推進している日本童話の翻訳・出版事業は、20年4月現在、46冊の日本の童話がベトナム語に翻訳されています。
そして、新型コロナ・ウイルス対策に従事する医療関係者の子ども達などを含め約2万2千部が寄贈され、約30万部が販売されています。
5月、お2人の活動は、NHKニュースやVTV(ベトナム放送)でも取り上げられました。なお、日本童話の普及に関しては、坪井早大名誉教授が当初から継続して助言・支援されており、貢献度は非常に高いものがあります。また、在越日本商工会議所の会員企業も多数サポートしています。
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