2024年11月22日( 金 )

【政界インサイダー情報】崩壊寸前の長崎IR‼~コロナ環境下でのカジノ計画のゆくえは?

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 前回にも指摘したが、長崎IR計画は崩壊寸前だ。今回が、最後のレポートになるだろう。

 長崎IRのRFP(自治体のIR事業者の公募)に参加する可能性がごく僅か残っていた、唯一の欧州オーストリア政府系ゲーミングオペレーターCasinos Austria International(CAI)が、欧州のコロナ感染拡大で人員整理とコスト削減に追い込まれている。CAIの親会社Casinos Austria AGは、厳格な再建策を提出するよう、オーストリア政府から要求されているのだ。

 今のCAIには、長崎IRを実行できる財務上の余裕はない。CAIは、長崎IRに値しない小規模なゲーミングオペレーターだと、以前から筆者は指摘してきた。

 これまでも説明してきたが、長崎IRのRFP参加予定の残り2社は、両社とも香港資本で、1つは中華系ジャンケット企業、もう1つは不動産開発企業だ。

 現在の香港問題も含め、米中覇権争い、南シナ海や尖閣諸島の安全保障問題、HUAWEIの5G問題のことを何度も指摘しているが、いまだに長崎行政と佐世保市長は理解せず、今秋にもこの上記3社でRFPを実行すると主張している。横浜IRも和歌山IRも同じ問題を抱える可能性があるため、中華系資本のオペレーターに一切チャンスを与えるべきではないだろう。

 筆者は、唯一成功する可能性があるのは大阪IRに応募している米国MGMとオリックスのみであろうと何度も指摘してきた。しかし、世界最大手のMGMでさえ、コロナ感染拡大で大打撃を受けている。米国ラスベガスを中心に多くの人員整理とコスト削減を強いられ、大阪IRの計画を今後大幅に変更せざるを得ない状況だ。

 ただし、MGMやCasinos Austria AG、いずれの中華系投資企業も、コロナ感染拡大問題を理由として日本から撤退することを望む企業は一切ない。

 このことに関して、多くの人は不思議に感じるだろうが、一言で表現するなら文化の違いである。我が国とはビジネス精神が大きく異なるため、理解し難い。いずれの国も、コロナ問題より経済再生を最優先としていることは明白だ。米国トランプ大統領やブラジル大統領の言動は、「日本人には奇異に写る国際社会の現実」の代表的なものである。

 だが、どの判断も「一長一短」で、日本人の判断がすべて正しい訳ではなく、マスクもしない米国人やブラジル人がすべて悪いという訳ではない。
 つまり、何事もバランスの問題だ。

 筆者は、日本ではマスコミが聖人君主のような表現で偏った報道をすることや、生活に困ったことのない人々がコメンテーターをしていることに言葉を失っており、くわえてそれらの報道に踊らされている視聴者のことも嘆かわしく感じている。目先のコロナ感染拡大問題のみに絶対に目を奪われてならない。賢者は必ず次を見つめて、バランスの取れた経済再生策を打つべきものだと信じている。

 その意味では、IR、すなわち、カジノを含む統合型シティリゾートの誘致開発事業は、日本の経済再生策としてはすばらしいプロジェクトだと考えている。このコロナ環境下でも十分に実行可能だ。何事も、バランスの問題だと筆者は確信している!

【青木 義彦】

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