2024年12月23日( 月 )

中国経済新聞に学ぶ~孫正義氏と馬雲(ジャック・マー)氏が、なぜ別れたのか(前)

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 孫正義氏と馬雲氏は21年にわたり、互いにとって協力パートナーだった。
 そしてこのほど、互いの会社の取締役を退任した。

 ブルームバーグ社の報道によれば、孫氏は株主総会で、自身の取締役退任について、馬氏がソフトバンクグループの社外取締役を退任したことと同じで、両者の間に何らかの溝があったためではなく、阿里巴巴(アリババ)は引き続きソフトバンクのポートフォリオの王冠に燦然と輝く宝石だと述べたという。

 出会いから21年、馬氏と孫氏の関係は、かつて孫氏の側近に「ソウルメイト」(魂の伴侶)と評されたこともある。両氏はそれぞれ大きな成功を収め、アリババは1ベンチャー企業から時価総額6,000億ドル(約64兆円)以上の超大型企業に成長し、孫氏もアリババヘの投資で大きな収益を上げた。

「一目惚れ」 アリババはソフトバンクから2,000万ドルの投資獲得

 アリババの壮大なビジネス版図の起点は1999年にあり、馬氏はこの年に湖畔花園エリアにある自宅で起業決起会を行った。馬氏は起業のビジョンを語り、中国人が創業した世界でもっとも偉大なインターネット会社を目指すとした。しかし2000年にソフトバンクから2,000万ドル(約21億3,880万円)の融資を受けるまで、馬氏はシリコンバレーで融資を少なくとも40回断られている。

 08年、成功して名前が知られるようになった馬氏は出演したテレビ番組のなかで、孫氏との出会いを振り返った。「孫正義氏と初めて会ったあの日、自分はスーツも着ずに、本当に気楽な気持ちで孫氏に会った。融資してもらおうという考えもなく、会ってすぐに自分がどんなことをやりたいのか話し、話がまだ終わらないうちに孫氏に遮られ、『いくら必要なのか』と聞かれた。融資してもらおうとは思っていないと答えると、孫氏は『融資は必要だよ』と私を励まし、どうやって資金を利用するか、どうやったらスピーディーに利用できるかを教えてくれた。一目惚れなんて信じない人もいるが、あれは多分一目惚れだったのだろう」。

 この日の面会で、孫氏はアリババに4,000万ドルの投資を提案した。提案を聞いて非常に感激しながらも、馬氏はその提案を断った。その理由は、これまで最高でも200万元(約3,060万円)の資金しか管理したことがなく、そんなにたくさんの融資を受けてもうまく使えないし、会社も問題を起こすだろうと考えたからだった。孫氏は3,500万ドルに減額したが、馬氏はもう少し考えさせてほしいと回答。自分のチームと検討した結果、自ら日本へ赴き孫氏と再び協議したものの、投資額は確定しなかった。

 最終的な投資額は1本のメールで決まった。「孫氏に提案したのは2,000万ドルで、これに同意してくれたら融資を受けるし、だめなら融資は受けないと書いて送った。孫氏からの返事はたった一言『go ahead』(それでいこう)だった。インターネットがもっとも冷え込んだこの冬、私は孫氏を困らせたことはなかったし、孫氏も私を混乱に巻き込んだことはなく、私たちはお互いに信頼し合っていた」と馬氏は振り返る。

 当時まだ創業初期だったアリババヘの2,000万ドルの投資は、ソフトバンクにとってテクノロジー企業に対するもっとも成功した賭けになったことは、後に証明された。

 ソフトバンクは00年の2,000万ドルに続き、04年にもアリババに4,000万ドルの追加投資を行い、アリババ株の28%以上を保有した。05年10月、孫氏はアリババの取締役になり、07年5月には、馬雲氏にソフトバンクグループの10人目の取締役に就任し、重大な案件についての決定に参加するよう求めた。馬氏はこれまでソフトバンク取締役会で13年にわたり取締役を務め、孫氏はアリババの取締役会で15年間取締役を務めた。

(つづく)


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