コロナショックでも好業績のコンテンツ産業(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
新型コロナウイルスの発生で、私たちのライフスタイルは大きく変わってしまった。人々は新型コロナウイルスに感染することを恐れて、外出を控え、できるだけ家で暮らそうという時間が長くなった。その結果、私たちのライフスタイルは非対面が日常化し、世の中はデジタルへの転換が急速に進んでいる。
このような状況下で、業績面で甚大な打撃を受けている業界がある反面、動画配信サービス、ゲーム業界、電子コミックなどのコンテンツ産業は、コロナショック以前よりも、むしろ売上を大きく伸長させている。今回は韓国のコンテンツ産業がおかれている状況などを取り上げてみよう。動画配信サービスの売上伸長
新型コロナウイルスが発生して深刻な打撃を受けた分野の1つは映画館である。密閉された空間で映画を見るのは、感染のリスクが高いとされ、コロナ発生後、映画館に足を運ぶ観客はほとんどいなくなってしまった。
このような状況下でも逆に恩恵を受けている企業がある。動画配信サービスで世界トップを独走中のネットフリックスである。2020年1月~3月の新規会員の増加数は1,580万人で、自社予想の2倍以上となった。これで世界の会員数は計1億8,290万人となった。現在、ネットフリックスの動画配信サービスは190カ国で楽しむことができ、世界的なサービスに成長した。
ネットフリックスは1997年にスタートした企業で、当初の事業内容はビデオやDVDの貸し出しであった。しかし、2007年からビジネスモデルを動画配信サービスへと変え、現在に至っている。
新型コロナウイルスで外出できなくなった人々は、自宅で動画視聴を楽しむことになり、ネットフリックスはそのおかげで業績を大きく伸ばしている。ネットフリックスの大躍進の背景には、同社が映画やドラマなどへ巨額の投資を実行し、良いコンテンツを確保したことも上げられている。韓国映画コンテンツの躍進
そのような中、最近ネットフリックスの動画配信サービスで韓国の映画コンテンツが話題になっていることを日本の皆さんはご存じだろうか。韓国の映画で初めてアカデミー賞を受賞して世界を驚かせた「パラサイト 半地下の家族」だ。世界中に蔓延する経済格差を風刺的に描いたポン・ジュノ監督の作品である。
同映画はアカデミー賞の歴史上92年ぶりに非英語圏の映画が初めて作品賞を受賞したことでも世界的に有名になった。今まで11本の非英語圏の映画が作品賞の候補に挙がったものの、いずれも受賞には至っていなかった。
この映画は192カ国に輸出され、世界の映画ファンに愛されている。米国の動画配信サービスの情報サイトによると、「パラサイト」は北米の動画配信サービスで配信された映画のなかで、再生率1位となっているという。加えて、先月の15日に韓国で封切りした「半島」という映画も動画配信サービスで大変人気を博している。今月4日までで韓国を含むアジア8カ国での売上高合計は4,000万ドルを上回っており、台湾、ベトナム、シンガポール、マレーシアなどで、ボックスオフィス(映画の興行成績の集積・評価サイト)1位を記録している。「半島」は190カ国に輸出され、コロナ後に封切りされた映画のなかで初めて損益分岐点を上回った映画でもある。
(つづく)
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