コロナショックでも好業績のコンテンツ産業(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
電子コミック配信サービスの急成長
このように韓国の映画コンテンツは、世界の人々に受け入れられるレベルとなった。韓国系企業は映画のみならず、電子コミック、とくに、アプリ型の電子コミック配信サービス市場でも急成長している。
伝統的に漫画といえば日本であるが、漫画の世界にもデジタルの波が押し寄せており、日本では2019年度に電子コミックの市場規模が紙コミックの市場規模より大きくなり、その後も差は広がっている。その日本の電子コミック市場のランキングにおいても韓国系企業のサービスが上位を占めるようになっている。comico(NHN comico) LINEマンガ、ピッコマ(カカオジャパン)などである。NHN comicoはNHNの電子コミック専門の子会社で、同社は7年前にこのビジネスをスタートし、最初に市場に参入した企業である。カカオジャパンが運営するピッコマは、市場シェアで2位となっている。ピッコマの累積ダウンロード数は1,700万件で、月間アクティブユーザは450万人である。昨年の売上高は4300ウォンで、タイへの進出も準備中である。
一方、ラインの親会社であるネイバーは、電子コミックに力をいれ、一定の成果を上げている。14年にはグローバル市場の攻略を始めており、現在北米、日本、ヨーロッパなど100カ国の電子コミック配信サービス市場において1位となっている。月間のページビュー数は105億ページビューを上回っている。海外での昨年の売上高は6,000億ウォンとなっている。ネイバーは各国で新人の漫画家を育成することにも注力している。
ゲーム業界も好調
パンデミック以降、自宅でゲームをする人が増え、韓国のゲーム企業の業績に好影響をおよぼしている。韓国のゲーム会社はもともとオンラインゲームに強い。パソコンでのオンラインゲームから最近はモバイルでのオンラインゲームにおいて世界的なヒット作を出している。
韓国の最大手ゲーム会社であるネクソンは、第2四半期の売上が20%増加し、株価は今年に入って50%以上上昇し、史上最高値をつけた。コロナで業績を伸ばしたネクソンの創業者である金正宙(キム・ジョンジュ、52歳)の資産は、52%増え、96億ドルとなった。
ネクソンの売上高は1999年100億ウォンに過ぎなかったが、2019年には2兆6,840億ウォンの売上高をあげ、20年ぶりに268倍売上高を伸ばしたことになる。ネクソンに並ぶ韓国の代表的なゲーム会社としてNC Softが挙げられる。1997年に設立された同社は、MMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)分野では世界的な企業であり、代表作は「リニジ」シリーズである。
同社の悩みは売上高の国内比率が7割と高く、海外展開がそれほど進んでない点である。しかし現在、外出もできないなかでゲームを楽しむ人が増えており、同社は業績を伸ばし、株価も上昇している。韓国ゲーム企業の課題として、コンソルゲーム(家庭用ゲーム機などのハードウェアを用いるゲーム)に対してはそれほど影響力をもたないことが指摘されている。それでも、パンデミックでゲームコンテンツを提供する企業を中心に業績を伸長させている。
今後コンテンツ産業はますます注目が集まる主要産業に成長していくに違いない。
(了)
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