2024年12月22日( 日 )

ストラテジーブレティン(258号)~コロナパンデミック、最悪期は過ぎたのでは ならば株高は当然(前)

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 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。今回は2020年8月13日付の記事を紹介。


コロナパンデミック~Worst is over 

 WHO統計による世界全体の累計感染者は、8月7日時点で2,000万人を超えた。しかし最悪期は過ぎ、少なくともロックダウンなどの過激な防止策で経済活動が悪化する懸念は小さくなったのではないか。

 以下4点が指摘できる。
 (1)世界全体で感染者数のピークアウト(欧州や東アジアで急減。7月以降も増加が続いていた米国、ブラジル、インド、南アフリカなども減少に転ず)
 (2)死者数は大きく抑制され、医療崩壊の懸念はコントロールされている。
 (3)スウェーデン、日本など新型コロナウイルス制御に成功している事例が見られる。
 (4)ワクチンが実用段階に入ってくる(最も開発が先行しているオックスフォード大学とアストラゼネカ(株)のワクチンは、9月にも実用化へ)

株価はPost Pandemicの織り込みへ

 新型コロナパンデミックにより約1カ月間で3~4割の暴落となった世界の株式は、ほぼ下落のうち9割を取り戻し、米国、中国、韓国、台湾などは年初比プラスに浮上している。株高をバブルとする指摘も根強いが、ここまで来ると「株高はコロナ後を織り込み始めた」と考える方が妥当ではないだろうか。

暗黙の日本式集団免疫戦略

 日本は世界に逆行し、感染者数が8月に入りピークを更新している。政府は緊急事態宣言を出しておらず「Go Toキャンペーン」を実施しているとの批判が絶えないが、おそらく問題ないだろう。
 公表される感染者数とはPCR検査陽性者数であるが、それは本当の感染者数ではない。PCR検査数が増えたため陽性者が増えただけという評価も、的外れとは言いきれない。

 最終的にコロナを制圧するためには集団免疫の獲得しか方法がなく、ワクチンが開発されなければ、Withコロナ(ウィズコロナ)の時代が長く続く。この間、医療崩壊に至らないレベルで感染をコントロールしつつ、経済活動を維持するという警戒体制を取らざるを得ない。

 「日本政府は公式には集団免疫戦略を採用していないが、2月24日に専門家会議の出した方針では、こう書いている。『このウイルスの特徴上、1人ひとりの感染を完全に防止することは不可能です。ただし、感染の拡大のスピードを抑制することは可能だと考えられます。(略)これからとるべき対策の最大の目標は、感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすことです』『医療対応の限界』を上げるために医療対応の体制を強化すると同時に、流行のピークを下げるピークシフト戦略で、実質的には緩やかに感染を拡大する集団免疫戦略だった」(池田信夫氏・JBpress 8月7日付)

 この集団免疫戦略は奏功しているといえる。増加する感染者数(陽性者数)に対して、死者数は大きく抑制されている。

(つづく)

(後)

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