2024年11月23日( 土 )

九州地銀(18行)の2021年3月期 第1四半期決算を検証する (2)

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【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2021年3月期 第1四半期(6月期)の経営成績推移表である。決算区分が連結、非連結および金融グループ傘下行は単体と基準が一律ではないものの、それぞれの銀行の経営成績を反映しており、これから検証していくことにしたい。

~この表から見えるもの
(1)    経常収益について
◆九州地銀18行の経常収益は前期比+1,147百万円の1,974億17百万円(+0.6%)。日銀の低金利政策や新型コロナウイルスの感染拡大の影響も加わる厳しい経営環境となっているものの、8行が前期比増収、10行が減収となっている。
・大きく増収となったのは大分銀行で、前期比+1,514百万円の15,615百万円(+10.7%)。次が同じ大分県に本店を置く豊和銀行で、前期比+273百万円の2,939百万円(+10.2%)。
・反対に大きくマイナスとなったのは熊本銀行で、前期比▲812百万円の5,464百万円(-12.9%)。次が佐賀共栄銀行で、前期比▲139百万円の1,446百万円(-8.8%)。

(2)経常利益について
・九州地銀18行の経常利益は、前期比▲1,355百万円の477億54百万円(-2.8%)。9行が前期比増益、9行が減益となっている。
・大きく増益となったのはふくおかFG傘下の十八銀行。前期比+1,115百万円の943百万円で、前期の▲172百万円から黒字に転換している。次か福岡中央銀行で、前期比+250百万円の415百万円(+151.5%)。
・大きく減益となったのは佐賀共栄銀行で、前期比▲159百万円の147百万円(-52.0%)。次がふくおかFG傘下の親和銀行で、前期比▲1,000百万円の10億66百万円(-48.4%)。10月に十八銀行との合併を予定している。

(3)当期純利益について
◆当期純利益の1位は福岡銀行。前期比+162百万円の116億34百万円(+1.4%)で、シェアは31.6%を占めている。
・2位は肥後銀行。前期比▲705百万円の47億81百万円(-12.9%)でシェアは13.0%。
・3位は西日本シティ銀行。前期比+630百万円の46億89百万円(+15.5%)でシェアは12.7%。
・4位は鹿児島銀行。前期比+280百万円の38億88百万円(+7.8%)でシェアは10.5%。
・5位は宮崎銀行。前期比+103百万円の23億2百万円(+4.7%)でシェアは6.2%。
・6位は大分銀行。前期比▲480百万円の18億15百万円(-20.9%)でシェアは4.9%。
・7位は佐賀銀行。前期比+426百万円の13億35百万円(+46.9%)でシェアは3.6%。
・8位は十八銀行。前期比+998百万円の10億67百万円(+1446.4%)でシェアは2.9%に上昇。
・9位は豊和銀行。前期比+412百万円の9億53百万円(+76.2%)でシェアは2.6%。
・10位は親和銀行。前期比▲759百万円の8億88百万円(-46.1%)でシェアは2.4%に:下落。
◆トップテンの内訳は第一地銀が9行、第二地銀が豊和銀行の1行となっている。
・以下、11位は山口FG傘下の北九州銀行、南日本銀行、熊本銀行、宮崎太陽銀行、福岡中央銀行、筑邦銀行、佐賀共栄銀行、長崎銀行の順となっている。うち最下位の長崎銀行(西日本FH
傘下行)の当期純利益は前期比▲20百万円の▲9百万円と赤字に転落している。

【表2】を見ていただきたい。九州に本店を置く金融グループの経営成績推移表である。

~この表から見えるもの~
◆当期純利益(連結)の1位はふくおかFG。前期比▲1,183億51百万円の103億19百万円(-92.0%)。大幅な減益は19年4月、十八銀行との経営統合により1,174億33百万円の「負ののれん発生益」を計上したことが主因。それを差し引きすれば微減となっている。
・2位は九州FG。前期比▲257百万円の71億38百万円(-3.5%)。
・3位は西日本FH。前期比+183百万円の53億81百万円(+3.5%)。

<まとめ>
日銀の低金利政策や新型コロナウイルスの感染拡大の影響により九州地銀は厳しい経営環境にあるが、まだ第1四半期の3カ月であり余裕が見られる。しかし、今後は第二地銀を中心に業績予想を減額修正することになりそうだ。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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