2024年11月22日( 金 )

【IR福岡誘致特別連載4】福岡IRと新たな「菅政権」(仮)の横浜IR誘致のゆくえ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 今回は、ほぼ間違いなく登場するであろう「菅新政権」のIR誘致との兼ね合いについて論じたい。
 福岡IRと新政権となる「菅新政権」は一見すると何のつながりもないように思えるが、米国系カジノ投資企業に関しては、思いもよらないであろうが、水面下で深く関わっている。

米カジノ投資企業2社は横浜IR関係者とも接触

 以前の記事でもお伝えしたように、関係者によると、「福岡IRと強いつながりをもつ米国系カジノ投資企業、いわゆるGaming Operator(ゲーミングオペレーター)の2社は、水面下では横浜IRにも期待しているため同関係者とも接触しており、両方のIR案件を同時に進めている」である。

 数カ月前に報道された横浜市の旧米軍基地跡地を利用した巨大なエンターテインメント施設の誘致、開発も、実は横浜IR戦略の一環である。同施設の誘致は、現状のIR候補地である山下埠頭が、全国港湾荷役の超大物である横浜港運協会の藤木会長を筆頭とする強力な反対運動をかわすために講じたお粗末な「代替策」なのである。

 上記の米国系カジノ投資企業のなかの1社が、ハリウッドのメジャー映画会社と連携しているため、映画のテーマパークの誘致、開発を先行させて、カジノ施設を後回しにすることで、横浜IR反対派と、藤木会長を筆頭とする山下埠頭の関係者を欺くという戦略である。

 横浜IRを促進する関係者も、諸々の策を講じているのだ!しかし、この権謀術数は藤木会長にはおそらく通用しないだろう。一方で、巨大なエンターテインメント施設の誘致では、Melcoをはじめとする中華系カジノ企業と提携する意向は一切なく、さすがに見識のある判断をしている。

 横浜IRの誘致、開発では、新首相になるであろう菅官房長官と安倍首相、林文子横浜市長は、IR反対派の筆頭である藤木会長とは旧知の間柄で、それぞれに強いつながりがあることはよく知られている事実であるため、藤木会長と反対派である山下埠頭関係者との関係はどこまでが本当のことなのか、まったくわからない。

 もっとも大きな問題は、日本の商慣習から、「菅新政権」では、菅官房長官が自身の地元選挙区に「我田引水」して、横浜IRを促進することはできない点である。

 IR誘致は、菅新首相の登場によってよりいっそう促進され、弾みがつくと一般的には思われがちであり、米国企業も含めてそう見なすであろうが、むしろ、横浜IRは誘致開発がより難しくなったといえる。

実現性がますます高まる福岡IR

 福岡IRの米国カジノ投資企業2社は、当然、この福岡IRの誘致・開発が完全に確定している訳ではなく、あくまでも候補地周辺の地域住民の自治団体とその関係者が、福岡市行政と市議会に本件の誘致開発の正式な促進要請を「お上への上申書」というかたちで実行した段階であることを、十分に認識している。しかし、米国カジノ投資企業2社には、日本でのIR事業の実現への強い執着があるため、横浜IRとの平行作業は当然の話なのである。

 先日の福岡IR促進の報道後、水面下で新たな外資系大手デベロッパー2社が浮上しており、さらに、彼らも投資企業のため、ゲーミングオペレーターである米国系投資企業とのライセンス提携は可能であると聞く。福岡IRへの注目度が増しているのだ!福岡IRはますます具現化されており、その実現性が高まっている。

 現候補地である西戸崎の国営海の中道海浜公園への誘致、開発の促進を上申したIR誘致促進委員会会長の井上準之助氏の情熱と愛情に筆者は感動した。関係者の行動は賞賛に値すると思う。

▼関連記事
【IR福岡誘致特別連載3】住民主導による福岡IR誘致 アメリカがあったときの賑わいを

 横浜IRを含めて全国のIR候補地の周辺住民には、管轄行政に対する反対派が多い。福岡IR案件を除けばIR誘致、開発の促進を上申した自治体は一切ない。福岡IR候補地は新たなインフラ整備も必要なく、国有の風光明媚な景勝地であり、付加価値が高まると推測される。これだけの好条件をもつ場所は、全国でも類を見ないだろう。

 筆者が以前から説明しているように、米国MGMが参入を目指す大阪IRと、米国系カジノ投資企業2社が候補に挙がっている福岡IRの2カ所しか、IRを実現できる可能性はないと考えている。

 以前から報告しているように、長崎IRは、関連企業が中華系の2社のみであり、インフラ整備もまったくなく、誘致が決まってからインフラを整備するというお粗末な計画であい、投資企業による具体的な計画も一切ないという現状だ。

 新たな「菅政権」下でも、全国のIR誘致・開発が安倍政権から積極的に継承されることは間違いなく、米国MGMが候補の大阪IRと米国系2社が候補の福岡IRの実現がより現実味を増している。あえて、もう一度説明するが、横浜IRは「菅新政権」の登場により、政府による「我田引水」がさらに難しくなるため、その実現は簡単なことではないと断言する。

【青木 義彦】

(3)
(5)

関連キーワード

関連記事