【書評】岡田勢聿の『自立論』~経営難から脱出方法
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青少年の自立支援を行う(一社)自立研究会は、コロナ禍で安定雇用の崩壊が深刻化するなか、いかにして自らのチカラで生き抜くのかということを主題にして、実業家・岡田勢聿氏の思考法を編集した書籍『自立論』を発行した。他人から支配されずに、自らのチカラで生き抜くことを「自立」とする本書では、大成功を目指すのではなく、自分のペースを守って物事をやり遂げ、誰からも牛耳られず「負けない」ことをテーマとしている。
岡田氏は困難に苦しむ経営者に対して、経営難からの脱出方法として、ふとしたことで相談に乗ってくれる周囲の人に相談することを勧めている。何かを頼むのではなく、純粋に相談することで、いろいろなことが展開してくるはずという。もしも可能な限りの相談をしても活路を見い出せなければ、「結局あなた自身がその程度の人間関係しか構築できていない」とする岡田氏の訓示は、厳しいながらもコトの本質をついている。
相談の際には相手に対する洞察と考察をもって、どんなに苦しい状況であっても頼みことではなく、暗い顔をせず「カラ元気」で相談することが肝要であるとする。往々にして経営者は再就職することはできないため、自身の活路を自身で見出さなければならない。そんな経営教訓を歯に衣着せぬ物言いで直言してくれる岡田氏の言葉が、先行きを不安視する経営者にとっての一助となることは間違いない。青少年の自立支援という枠を超えて、サラリーマンや経営者など、現代に生きる多くの人に届く言葉がそこにはある。
人間の本質は離合集散と保身である。であれば、自分で自分を助けるしかなく、あなたを褒めてくれる人はあなた以外にはいないという現実を直視するしかない。だからこそ、負けず、折れず、途中で挫けず、やり続けるということが大事であるという「自立論」は、コロナ禍で社会不安が増大する現代の処方箋である。
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