新型コロナの防疫対策で世界の先頭を走る台湾と意見交換(7)
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2020台湾最新ビジネスセミナー「withコロナ時代‐日台で切り拓く新ビジネスチャンス」(主催:台日産業連携推進オフィス(TJPO)、協力:(株)電波新聞社)が9月15日、TKP品川カンファレンスセンターで開催された。
今回のセミナーは新型コロナの影響を受けて、現地会場とオンラインのいずれでも参加できるハイブリッド方式で開催された。現地会場では約40人、日本・台湾の二元中継のオンラインで約130人が参加した。LINEなどコミュニケーションツール解禁
(サンワテクノス代表取締役社長・社長執行役員の田中裕之氏)
そこで、リモートでコミュニケーションを取っていても、顧客との「人間関係」において「密」の環境をつくり出せないだろうか、と考え、社内でもアイデアを募りました。今後の進め方として、以下の3点を実行します。
(1)LINEなどの各種コミュニケーションツールの活用
従来からIT先進国の台湾では、当社の現地事務所や私の台湾の友人たちも、LINEなどのコミュニケーションツールを会社の仕事で使っていました。しかし、日本の業界では、セキュリティを理由に、会社の連絡にLINEなどを使うことを禁じています。
当社もこれまでは、LINEなどのコミュニケーションツールを会社の電話にインストールすることを禁じていましたが、現在は解禁しました。顧客とさらにハードルを下げたお付き合いをして、たとえ対面でなくても、ある意味での「蜜な人間関係」をつくることが大切と感じたためです。
(2)マイクロ営業所の設立、リモートツールを利用しての情報提供
マイクロ営業所として7月に四国の新居浜に営業所を開設しました。業界では、多くの企業が地方の営業所を採算が悪いために撤収しています。しかし新居浜では、従来の当社の営業所の規模(フロントのセールスマンが2~3人、バックヤードに2~3人)とは少し異なり、フロントのセールスマンが2人(バックヤードは大阪支店がサポート)のみの小さな営業所です。出張費などを考えれば経費の負担も軽く、何と言っても顧客のそばにいることができるため、信頼もあり評判も上々です。私はこれをマイクロ営業所と呼んでいますが、今後はこのモデルを各地に拡大しようと考えています。
(3)いま、求められていることを推進。コロナ対策商品、巣ごもり商品を扱う
田中 裕之 氏 当社は商社のため何を販売しても良いのですが、セールスマンは、これまで会社から与えられた商品のみを販売してきました。しかし、今では、社員全員が一丸となって、売れるものを模索しています。会社としても、この観点から社員のサポートを続けたいと考えています。最近のヒット商品は、空間除菌消臭装置「エアロピュア」などがあります。新型コロナウイルス感染症の予防対策に効果があると言われています。その他、感染症対策商品として、AI検温器、皮膚赤外線体温計、飛沫ガード、冷感マスク、フェイスガード、オゾン手洗い器、除菌照明などを取り扱っています。
半導体製造装置などを扱う企業は、従来ならばエンジニアを現地に送り、設置指導を行っていました。しかし、現在は、エンジニアを現地に派遣できないため、お客様から「ARスマートグラス」のご要望が増えています。
ARとは拡張現実のことです。ARスマートグラスに映る画像を通して、工場現場では現実の装置の前で「そこのネジを締めてください」などの指示をリモートで受け取り、作業を行うことができます。
ウェブでチラシを配布し、新規顧客を開拓
田中氏の講演は、セールス部隊を抱える日本の多くの企業にとって、「かゆいところに手が届く」話だったため、講演終了後、会場の参加者からすぐに質問があった。
参加者の質問
コンピュータの会社で巨額の商品を扱う営業をしています。当社も顧客と会えないため新規顧客を開拓できず、そのため営業のノルマが達成できないという悩みを抱えています。また、現在は顧客に会って商談する時の雑談から次の商売の種を得ることができませんが、テレワーク時代には新規顧客をどのように開拓したらよいでしょうか。
田中氏の回答
新規顧客の獲得は、確かにとてつもなく難しくなっています。これまでは、お客さまの囲い込み、情報提供などを含めて「サンワテクニカルセミナー」を約20年実施してきました。しかし、今は100人規模での集客はまったくできません。そこで、今はウェブでチラシを配って、新規顧客開拓を行っています。このことを蓄積して、新型コロナ後のリアルな「サンワテクニカルセミナー」に備えようと考えています。しかし、顧客に会えないことは、私たちセールスマンにとって致命的であることには変わりありません。
(つづく)
【金木 亮憲】
<INFORMATION>
台日産業連携推進オフィス(TJPO)
台湾行政院が2011年認可した「台日産業連携架け橋プロジェクト」により12年3月に設立。関連部会の資源を統合し日台双方の産業連携をより一層密接にすることで、日台間における全体的な産業のレベルアップを図り、共同でグローバル競争力と産業チェーンを高めることを目的としている。
日台産業間の連絡窓口として、セミナーや商談会を通じて、産業の連携案件、プロジェクト追跡業務などのサポートを行うとともに、相互に派遣団による交流を行っている。日台OBネットワーク
2007年設立の日台産業の連携に熱意を持つ企業人で構成されたボランティア団体。台湾政府の重点政策方向、産業の趨勢、将来の推進方向、日台の連携成果など日台双方の重要な情報交換の場となっている。現在の会員は約360人。
組織は、最高顧問:安藤国威 ソニー(株)元社長兼COO、会長:峯岸進 台湾Sony元董事長。副会長:高杉春正 台湾TDK元董事長と揚原浩 台湾富士通元董事長、関西地区会長:松本光司 双日台湾元董事長で構成されている。毎年日本で1~2回の交流会を開催。会員ほか、日本企業の各界名士および台湾政府高官や産業界関係者も参加する。関連記事
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