力の源HD、一蘭 福岡発ラーメンを世界へ広める2社の強みを徹底比較

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 九州発祥の豚骨ラーメンを軸に、それぞれ異なる戦略で国内外にその名を馳せる2つの企業、(株)力の源ホールディングス(以下、力の源HD)と(株)一蘭(以下、一蘭)。当社発刊のI・B3021号では、この2社について詳細な企業研究を掲載した。以下で各記事の読みどころを紹介する。

力の源ホールディングス:無類の環境適応力

 注目すべきポイントは、コロナ禍で一時は破綻寸前まで追い込まれながらも、外部環境の変化に迅速に対応し、過去最高の業績を更新するまでに回復した同社の適応力だ。とくに、海外事業の成長が回復の牽引役となった点は重要で、国内店舗の収益を上回るほどの成功を収めている。

 もう1つ、創業時からの革新的なブランディング戦略も見逃せない。「一風堂」の1号店は、従来の豚骨ラーメン店のイメージを覆し、女性の1人客をターゲットにしたおしゃれな店舗づくりやジャズのBGMなどで人気を集めた。また、積極的な海外展開の歴史も興味深い。当初は苦戦を強いられたものの、ニューヨークでの成功を皮切りに、グローバルブランドとしての地位を確立した。

 今後の展開として注目されるのが、M&Aによる事業領域の拡大だ。ほぼ豚骨スープ一本で勝負してきた同社が、みそラーメンを提供する企業を買収するなど、新たな成長エンジンを模索している姿は、老舗ブランドでありながら常に変化を恐れず挑戦し続ける姿勢を示している。また、能力のある人材の積極的な登用と育成も、同社の成長を支える重要な柱となっている。

一蘭:独自のラーメン体験を世界に発信

 「味集中カウンター」に代表される独自の顧客体験の追求が同社の強みだ。周囲を気にせずラーメンに集中できる空間は、一蘭の代名詞であり、他社にはまねできない強みとなっている。この独自のスタイルが国内外の多くのファンを魅了し、強力なインバウンド集客力につながっている。

 徹底した品質管理体制も重要なポイントだ。福岡県糸島市に設立した大規模な製造拠点「一蘭の森」を中心に、麺やスープ、チャーシューを一貫して自社製造することで、安定した品質を維持している。また、地域特性や顧客ニーズに合わせた柔軟なメニュー開発も、一蘭の強みの1つだ。太宰府参道店の「合格ラーメン」や、インバウンド向けの「100%とんこつ不使用ラーメン」などがその例として挙げられる。

 コロナ禍においては、店舗に依存しない新たな収益源の確保としてカップ麺の販売を始めたが、その過程で公正取引委員会から行政処分を受けるという出来事もあった。それでも、その後はインバウンド需要の回復や新規出店によって、再び増収基調に戻っている。

 今後の注目点として挙げられるのが、同族経営における事業承継だ。福岡を代表する企業として、豚骨ラーメンという食文化を次世代にどう受け継いでいくのか、その動向に注目が集まっている。

 両社の記事を通して見えるのは、力の源HDが変化への適応力とグローバル展開を強みとし、一蘭が独自の顧客体験と品質へのこだわりを武器に成長してきたという点だ。異なる戦略をとりながらも、九州発祥のラーメンを国内外に広めてきたという共通点をもつ2つの企業の今後の展開から目が離せない。

 ぜひ、当社発刊のI・B3021号の企業研究をお読みいただきたい。

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【寺村朋輝】

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