【日本学術会議】「和製ヒトラー」=菅首相の暴走を止められるか
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「将来の日本にとって大きなマイナス」岡田正則・早大教授
日本学術会議の任命拒否問題が与野党激突のテーマとして急浮上している。問題発覚直後の10月2日に「学術会議推薦者外し問題 野党合同ヒアリング」が発足、任命拒否された3名の学者から話を聞いた後、内閣府大臣官房参事官と内閣法制局参事官に任命拒否の理由や法的根拠を問い質した。翌週も7日と8日の内閣委員会の衆参閉会中審査でこの問題を追及、その前後の日と9日にも野党合同ヒアリングを開いたのだ。
2日のヒアリングには、任命拒否された岡田正則・早大教授(行政学)も参加して発言。終了後には囲み取材にも応じた。
「(今日のヒアリングの受止めについて)日本学術会議は、日本の学術界を代表して、その立場から政府に対して提言を行う。国内外の代表する立場ですから、その構成員を、勧告を受ける政府が左右するというのは日本の学術を歪める、あってはならないことだと思っています」
「政府に任命拒否権があるという主張については、日本学術会議法で監督することはしてはいけない定めになっていますし、国会でも繰り返し〈内閣は学術会議については独立性を尊重して、人事を左右するようなことはやらない〉のだと言ってきたわけです。ところが今回、突然、それを変えて、自分に耳が痛い勧告をしそうな学術会議にしないために人事に手を入れてきたというように思います」
「日本学術会議は独立した機関で、独立性を踏みにじるようなことは政府としてはやってはいけない。これは日本と世界に対する学術に対して非常に大きな禍根を残すことだと思います」(岡田氏)任命拒否問題が菅政権になって急に出てきたことについて聞くと、岡田氏はこう答えた。
「人事を通じてイエスマンで行政を固めようと。行政の外側もそういうようにしようということかも知れませんが、将来の日本にとって非常に大きなマイナスだと思う。いろいろな考え方でいろいろな提言をする機会を潰して、今の政府に都合の良いことしか耳に入らないようにするのは、将来の世代に対する大変な冒涜だと思います」「(菅首相に言いたいことは)やはり日本の学術のためには、日本学術会議をきっちりと支えて、そして、いろいろな意見を聞いていただきたい」任命拒否問題は、国策ゴリ押し独裁国家づくりの象徴
7日のヒアリングの後は、立憲民主党の川内博史衆院議員が囲み取材に応じ、菅首相にとっては負け戦確実の状況と説明した。
「菅首相は(日本学術会議の推薦者を)『任命しない』とは言えない。任命しないということは法律違反になるのでできないのです。(日本学術会議から推薦された人を)拒否できないからです。すぐに任命をせずに時期がずれ込んでいる。さぼっているわけです。学術会議が(推薦)名簿を取り下げるのを待っているのですが、(日本学術会議が)『取り下げない』と言っているので、この喧嘩は学術会議の勝ちなのです。推薦は生きているのです。起案文書をつくって99名は任命しました。6名については推薦されているが、『起案文書をつくっていない』というのが法的なステータス(状態)と僕は思います」
「(任命拒否権があるという説明について)よっぽどのことがあれば、学術会議に『名簿を取り下げなさいよ』と言えるということなのです。たとえば、推薦から任命までの間に犯罪を起こしたりすれば、『困るので取り下げてください』ということは言える。そこまでの義務はないのだと。だから『義務』とまでは言えないと(内閣法制局は)説明している。だからこそ、(任命拒否の)理由を示さないといけない。どちらにしてもガースー(菅首相)は負け戦だと思います。学術会議に(新たなリストは出さないと)粘られたら、『210名の会員をもって組織する』とあるので組織できない」ここで私が「(なぜ)菅首相はこんな愚かなことをやってしまったのか」と聞くと、川内氏は菅首相を中小企業の社長に例えながらこう説明した。
「だって、あの人は中小企業のオッサン(社長)と同じだから。『俺(社長)が人事権をもっているのだから言うことを聞け』『俺が給料を払っているんだぞ!』という非常に軽い考えだと思います。一番問題なのは、周りが『無理筋ですよ』と説明しないこと。苦言を呈しないから増長して『俺の言う通りになるのだ』と思い込んでしまう。結局、(周りが)忖度官僚集団になってしまった。(菅首相は)全部俺の思う通りになると思ってしまっている。これは、もう独裁国家状態です。独裁国家は独裁者だけがつくるのではなくて、周りのみんなでつくっていくわけですから」政権発足早々、国策に異論を唱えた学者6名を任命拒否した菅政権は、異論排除で国策ゴリ押しの独裁国家づくりに邁進しようとしているといえる。野党が任命問題を徹底追及する構えなのは、“和製ヒトラー”のような菅首相から日本の「民主主義」「法治主義」を守ろうとしているためだ。
【ジャーナリスト/横田 一】
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