【IR福岡誘致特別連載10】国際金融都市構想にとってIR誘致開発はベストシナリオ
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先日、高島宗一郎市長らが福岡県や地元経済界とタッグを組み、郷土である福岡市が国際金融都市を積極的に目指すために、産学官組織「Team Fukuoka(チーム福岡)」を結成、外資系企業の誘致や優秀な人材の確保に向けた勉強会を行うという方針を発表した。
これは、中国共産党により香港の国際金融都市としての地位が衰退していく問題に直面して、アジアにおいて代替的な役割をはたす都市をつくろうという構想であり、当然ながら東京や大阪におけるみずほフィナンシャルグループやSBIホールディングスなどによる類似の動きを考慮したうえでの判断である。
国際金融都市構想とIR誘致開発は、一切関係のない別物に見えるかもしれないが、筆者はこの2つは表裏一体であり、お互いに重要なファクターだと理解している。よく知られているように、国際金融都市である香港の近くにIRが集積するマカオがある。すなわち、Sands(サンズ)、MGM、SJM、リスボア、Melco Resortsなどの一大カジノ施設がある。同じく国際金融都市であるシンガポールにも、Hard Rockなど世界的なカジノ施設が集まっている。
IRについて、日本のメディアでは「ギャンブル依存症」への懸念が先行し、カジノオペレーターは「賭博業者」と蔑まれているが、これは完全に誤った理解である。世界では、カジノオペレーターは「国際金融業者」という立場を確立しており、その価値が正しく評価されている。今後はとくにオンラインカジノなどに代表されるデジタル通貨を利用した世界的なITビジネスが広がると予想されている。カジノゲームにおいても同様に金融が関わっている。
デジタル通貨の普及にともなって、世界で動く資金はより巨額になっており、IRはその潮流のなかで理解すべきだろう。ITビジネスの世界では、国境という垣根はすでにないも同然と筆者は感じている。日本では多くの地域で「ギャンブル依存症」などの懸念があり、IR誘致に対する反対運動が起きているが、これらは日本特有に見られる現象である。しかし筆者は、IRとは国内の低所得層を相手に稼ぐビジネスではなく、むしろ世界の富裕層に楽しませてお金を使ってもらい、その掛け金からえた収益を一般人や低所得者層に再配分するという、社会への貢献を兼ねたビジネスであると考えている。
福岡への国際金融都市構想に期待しているが、まずIR福岡の誘致開発事業を実行することが、国際金融都市構想にとって必須かつ早道であると筆者は考える。香港、シンガポールでは、IR事業者1社が年間1,000億円以上の資金を集めており、そこで、その資金を随時、調達し運用する機能が必要となる。IR事業者ほど多くの資金を集める事業体はほかにそうはないだろう。福岡にIRを誘致することは、国際金融都市構想を実現させる最強のカードである。
世界の著名な国際法律事務所の日本拠点は東京に一極集中しており、福岡市には国際法律事務所と呼ばれる組織は少なく、また国際資格をもつ通訳者なども福岡には少ない。これらは時間をかけて集まっていくものであり、短期間に1つの都市に集めることは至難の業だ。しかし、IRを福岡に誘致できれば、そのような組織や人材を短期間で集め、国際化を一挙に加速できる。そして国際金融都市構想の実現性も高まる。
IR福岡の誘致は国際金融都市構想も含め、新たな政権の基本方針にすべて合致しているのだ。「Team Fukuoka」のメンバーには、この点を踏まえ、IR誘致に向け活動している福岡JC関係者などの若い人々と交流し、新たな福岡都市圏構想をまとめていただきたい。
【青木 義彦】
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