コロナの陰で明暗(1)
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年寄りは「テレビ漬け」で、認知症と体力の衰えが進行
73歳の「ジーサン現役・美祢」は毎週火曜日から金曜日まで、東京で「大義」を貫き、土曜日から月曜日までは故郷で「農耕生活」に励んでいる。彼は「この田園生活がないと俺の精神状態はおかしくなる」と語る。その美祢から、珍しく憤った様子で電話がかかってきた。「田舎の同期たちから、何でお前は毎週東京に通い、ガツガツ働いているのか!と、馬鹿にされた」といった内容の愚痴が延々と続いたのである。
同期の連中はコロナが怖くて自宅に閉じ籠っているとか。孫たちも大きくなり、祖父との付き合いを卒業した。あとはテレビを見るしか楽しみがない。美祢は「あんな面白くないテレビを見ていれば『ボケ』がすすむ。その次に来るのが、体力の衰え。間違いなく日本の平均寿命は短くなるだろう。もう同級生とは連絡を取らないようにする」と宣言する。この発言はまさしく名言である。
旅行が生きがいの70代婦人たち
ホテルオークラでの一コマ。75歳前後の婦人が同い年と思われる友人に「必ず北海道へ行こうね」と言っていた。話から推測するに12月上旬に北海道旅行を企画しているようだ。彼女らが勇んで旅行に行こうとしているのは「GoToトラベル」があるからである。前述した「ジーサン」たちとは大違いの行動力で頭がさがる。
日本の「リッチマン」たちは定期的に海外旅行に出かけていたが、その楽しみがコロナによって奪われた。カトープレジャーグループが全国で展開する高級旅館「ふふ」シリーズは年末まで予約がとれない。前述の「リッチマン」たちが押さえているのである。彼らはGoToなど当てにしない。一方、湯布院の高級温泉旅館も年末まで予約でいっぱいである。こちらは「GoToトラベル」の影響も受けているのだろう。
和僑壊滅
「コロナの陰」シリーズの原稿はいくらでもあるが、今回はこれで終わりにしよう。
2000年代に入って「和僑」という言葉がはやりだした。華僑にあやかった造語であろう。海外、とくに東南アジア各地で日本人たちが事業を起こし、その地域に根差すことが流行するようになった。そこで「和僑」という言葉で括って東南アジア各地で交流会が行われるようになった。この組織を運営する方が内幕を教えてくれた。「コロナからすべてを潰された。全員、日本に逃げかえっている」そうだ。一方、「華僑がコロナに潰されて逃げ帰った」という話は耳にしたことがない。
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