LIXIL、グローエのトップだったヘインズ氏を解任(前)
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グローエの買収で抱えた1606億円の「のれん」という名の時限爆弾
住宅設備大手(株)LIXILグループは3月7日、事業会社(株)LIXILで衛生陶器や浴室など水回り製品部門のトップを務める英国人のデイビッド・ヘインズ氏を解任した。1月にLIXIL社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した瀬戸欣哉氏が、水回り製品のグローバル事業を直接指揮する。LIXILグループはグローエ=ジョウユウの買収で奈落に突き落とされたが、その買収劇のキーマンがヘインズ氏だった。
ヘインズ氏は、グローエの高値転売が使命
2015年12月21日、持ち株会社LIXILグループはトップ交代を発表した。社長兼最高経営責任者(CEO)の藤森義明氏が16年6月の株主総会で代表権のない相談役に退き、後任には工具通販の(株)MONOtaRO(モノタロウ)会長の瀬戸欣哉氏が就任する。瀬戸氏は16年1月1日付で事業会社LIXILの社長兼CEOに就いた。
「プロ経営者」と異名をとる藤森氏の解任劇である。買収直後に発覚した中国子会社ジョウユウの不正会計問題で、660億円の損失を出した詰め腹を切らされた。
今回、解任されたデイビッド・ヘインズ氏は、ジョウユウの親会社、欧州の水栓金具大手グローエの会長兼CEOを務めた人物だ。LIXILとジョウユウ問題を追求してきた会員制情報誌『FACTA』は、2月号「LIXIL『時限爆弾』の正体」の記事で、ジョウユウばかりか、その親会社だったグローエをファンドに弄ばされた会社として取り上げている。
グローエはもともと創業家が最大株主のドイツ企業で、フランクフルト市場に上場していたが、1998年に英投資ファンドのBCパートナーズが全株を取得して非公開化。2004年に米投資ファンドTPGとスイス金融大手クレディ・スイスが組んだファンドに転売された。
これらの買収は2回ともLBO(レバレッジド・バイアウト)で行われた。LBOとは、買収先企業の資産を担保に借金して企業を買収することをいう。買収した会社に借金のツケを回すわけだ。2回のLBOで、グローエは借金まみれになった。
この時、TPG・クレディ連合がスカウトしたのが、デイビッド・ヘインズ氏である。彼の使命は、借金漬けのグローエを成長企業に脱皮させ、TPG・クレディ連合が高値売り抜けを実現させること。
ヘインズ氏は、グローエの業績のかさ上げを狙って、フランクフルト市場に上場している中国企業のジョウユウを取り込む。9年に初出資し、13年に子会社化した。そして買い手を募り、14年1月グローエを約4,000億円の高値でLIXILに転売することに成功した。だが、ジョウユウはトンデモ会社だった。
(つづく)
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