【企業研究】ロイヤルホールディングス~コロナ禍で飛行機が飛ばず、創業事業の機内食事業が壊滅的な打撃!(2)
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外食大手の2020年7~9月期決算では、主要13中5社が最終赤字だった。新型コロナウイルスの影響による落ち込みは4~6月期で底打ちしたと見られていたが、人件費や賃料抑制など合理化が追いつかない企業が赤字となった。
ロイヤルホールディングス(株)の7~9月期の最終損益は54億円の赤字(前年同期は9億9,300万円の黒字)と、13社中の赤字幅はもっとも大きかった。ロイヤル“1人負け”の状態だ。「ファミレスの王者」ロイヤルに何がおきているのか?国際線の落ち込みで機内食事業が大打撃
コロナ禍の影響はロイヤルホールディングス(HD)グループ事業全体に波及し、すべてのセグメントで減収減益になった。
もっとも打撃が大きかったのは、創業事業である機内食事業である。国際線の旅客数の落ち込みで、1~9月の機内食事業の売上は前年同期比71.9%減の20億円に激減。経常損益は17億円の赤字(前年同期は7億円の黒字)に転落した。
主力とするLCC(格安航空会社)専用の関西国際空港の国際線はストップし、機内食の3~9月の売上はゼロだった。国内線は徐々に再開し始めたが、機内食の大半を占める国際線は運休・減便が続き、本格的な再開が進んでいない。機内食の10月の売上は、前年同月比88.3%減と壊滅状態が続いている。
航空需要が蒸発したため、空港ターミナル内で運営しているレストランは開店休業の状態で、売上高は5月に前年同月比82.4%減まで落ち込み、その後の戻りは鈍い。国内線の旅行客は緩やかに回復しているが、空港ターミナル店の10月の売上は前年同月比63.6%減と浮上する兆しは見えてこない。そのため、空港ターミナル・高速道路など事業の1~9月の売上は前年同期比52.1%減の76億円、経常損益は15億円の赤字(同8億円の黒字)だった。
ファミレスのロイヤルホストも赤字転落
全社売上の55%を占める外食事業はコロナの影響を大きく受けた。主力のファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の1~9月の売上高は前年同期比24.1%減の223億円、経常損益は8億円の赤字(同17億円の黒字)。天丼の「てんや」も、売上高は前年同期比21.9%減の74億円、経常損益は8億円の赤字(同5,000万円の黒字)だ。
ロイヤルホストの既存店売上高は4月に前年同月比57.9%減まで落ち込んだが、テイクアウトの売上が寄与し、10月には同4.8%減まで戻した。しかし、冬場に向けてコロナ感染が拡大しており、先行きは見通せない。
ロイヤルHDでは90店舖の大量閉店にともない、ロイヤルホストが21年1月1日付で、てんやと専門店のサラダバー&グリルレストランの「シズラー」、ピザレストランの「シェーキーズ」を吸収合併する。
リッチモンドホテルは、都心でインバウンドが蒸発
ロイヤルHDのもう1つの柱である「リッチモンドホテル」のホテル事業は、1~9月の売上高が前年同期比57.3%減の95億円、経常損益は59億円の赤字(同25億円の黒字)だ。
リッチモンドホテルは直営で41店を運営し、19年12月期の客室稼働率は90.7%だった。コロナが直撃した4~6月の稼働率は25.4%に落ち込んだが、7~9月には52.9%に戻った。地方ホテルは90%超まで稼働率が回復してきたが、都内やインバウンドの占有率の高いホテルは苦戦している。
ホテル事業の10月の売上高は前年同月比44.4%減と、コロナ前の水準にまで浮上するのは、まだまだ時間がかかりそうだ。
新型コロナによる3密(密閉・密集・密接)回避の影響を大きく受け、外食各社の業績は悪化した。そのなかで、ロイヤルHDが“1人負け”になったことには、理由がある。機内食事業という他社にない事業を抱えていたためだ。航空機が世界の空を飛ばなかったことが、ロイヤルHDに大打撃を与えた。
(つづく)
【森村 和男】
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