九州地銀の2021年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する (3)
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【表1】を見ていただきたい。九州金融グループ(FG・FH)の2021年3月期第2四半期(中間期/9月期)の純資産残高および総資産残高順位表である。
(1)九州FG・FHの純資産残高(連結)順位表
~この表から見えるもの~
◆純資産残高1位はふくおかFG。前年同期比▲605億円の8,988億円(-6.3%)。大きくマイナスとなったのは、前年9月期に十八銀行と経営統合し「負ののれん発生益」(特別利益) 1,174億円を計上したため。20年3月期(通期)では前年比大幅に増加している。
・2位は九州FG。前期比▲144億円の6,525億円。マイナスは繰り延べヘッジ損の増加によるもの。
・3位は西日本FH。前年比+96億円の5,251億円(+1.9%)。
◆総資産残高1位はふくおかFG。前年比+2兆7,047億円の27兆3,207億円(+11.0%)。
・2位は西日本FH。前年比+1兆2,062億円の12兆1,293億円(+11.0%)。
・3位は九州FG。前年比+1兆882億円の11兆7,848億円(+10.2%)。
◆自己資本比率1位は九州FG。前年比-0.18%の11.11%。11%台を維持している。
・2位はふくおかFG。前年比+0.06%の10.92%。
・3位は西日本FH。前年比+0.14%の9.59%。【表2】を見ていただきたい。九州地銀18行の2021年9月期の純資産残高および総資産残高順位表である。純資産座高が前年比マイナスの要因は「その他有価証券評価差額金」=含み益の増減によるケースが多い。
~この表から見えるもの~
◆純資産残高1位は福岡銀行で6,574億5,400万円。
・2位は西日本シティ銀行で5,228億8,800万円。
・3位は鹿児島銀行で3,252億7,500万円。
・4位は肥後銀行で3,178億5,600万円。
・5位は大分銀行で1,953億5,600万円。以下、6位の十八銀行、7位の宮崎銀行、8位の親和銀行、9位の佐賀銀行、10位の北九州銀行までが純資産残高が1,000億円以上の銀行。
・11位は熊本銀行で873億1,600万円。12位以下は宮崎太陽銀行、南日本銀行、筑邦銀行、豊和銀行、福岡中央銀行、長崎銀行と続く。最下位(18位)は佐賀共栄銀行で143億8,700万円。トップの福岡銀行と大きな差があるのがわかる。
◆総資産残高1位は福岡銀行。前期比+2兆146億29百万円の19兆4,777億5,600万円(前年比+11.5%)。11位の北九州銀行以下の総資産残高を大幅に超える増加となっている。
・2位は西日本シティ銀行。前年比+1兆1,851億76百万円の11兆8,687億7,900万円(前年比+11.1%)。
・3位は肥後銀行、4位は鹿児島銀行で同じ九州FG傘下行。
・5位は大分銀行。以下、第一地銀の宮崎銀行、十八銀行、親和銀行、9位の佐賀銀行まで
が上位を独占しているのがわかる。
・10位は第二地銀の熊本銀行。11位は北九州銀行、12位は筑邦銀行。13位の南日本銀行以下18位の佐賀共栄銀行までは第二地銀であり、経営基盤の弱さが読み取れる。
◆自己資本比率1位は山口FG傘下の北九州銀行で11.01%。11%台は1行のみ。
・2位は十八銀行で10.59%。3位は鹿児島銀行10.55%、4位は肥後銀行10.48%、5位は十八銀行で10.08%。以上が10%台。
・6位は宮崎太陽銀行9.80%。7位は西日本シティ銀行9.75%、8位は福岡銀行9.62%、9 位
は熊本銀行9.50%、10位は親和銀行9.46%、11位は福岡中央銀行9.05%。以上が9%台。
・12位は長崎銀行で8.70%。13位は南日本銀行で8.58%、14位は佐賀共栄銀行8.47%、15位は宮崎銀行8.30%、16位は佐賀銀行で8.16%。以上が8%台。
・17位と18位は筑邦銀行と豊和銀行の2行で同率の7.48%。8%を割っているのが目につく。
<まとめ>
国際統一基準では、バーゼル合意に基づき、銀行の達成すべき自己資本比率は8%以上
と定めている。8%を割っている筑邦銀行と豊和銀行を含め、純資産残高が下位の銀行にとっては、新型コロナウイルスの影響は深刻であり、今後、生き残りを賭けて他行との経営統合を模索することになりそうだ。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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