2024年12月24日( 火 )

九州地銀の2021年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する(4)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀の金融グループ(3社)の2021年3月期第2四半期(中間)の預貸出金残高順位表である。

~この表から見えるもの~
◆貸出金残高1位はふくおかFG。前年同期比+1兆2,682億円の17兆1,519億円(同+8.0%)。20年3月末比+1兆257億円(同+6.4%)。
・2位は西日本FHで、前年同期比+9,940億円の8兆4,142億円(同+13.4%)。20年3月末比+8,601億円(同+11.4%)。
・3位は九州FGで、前年同期比+3,583億円の7兆5,205億円(同+5.0%)。20年3月末比+3,336億円となっており、福岡市に本社を置く金融グープが圧倒的に高いシェアをもっている。
◆総預金残高(含む譲渡性預金)1位はふくおかFG。前年同期比+1兆5,050億円の18兆7,583億円(同+8.7%)。20年3月末比+1兆2,370億円(同+7.1%)。
・2位は西日本FH。前年同期比+6,797億円の9兆3,475億円(同+7.8%)。20年3月末比+5,166億円(同+5.8%)。
・3位は九州FG。前年同期比+5,833億円の9兆3,373億円(同+6.7%)。20年3月末比+5,711億円(同+6.5%)で、西日本FHに差を詰めているのがわかる。
◆預貸率トップはふくおかFGで91.4%。2位は西日本FHで90.0%。3位は九州FG80.5%と上位2グループとは10%近い開きがある。

 【表2】を見ていただきたい、九州地銀(18行)の預貸出金残高順位表である。

~この表から見えるもの~
◆九州地銀(18行)の20年9月期の貸出金残高は、前年同期比+3兆2,491億円の43兆1,964億円(同+8.1%)。20年3月末比+2兆6,745億円(同+6.6%)。また総預金残高は前年同期比+3兆8,278億円の50兆9,336億円(同+8.1%)。20年3月末比+3兆2,217億円(同+6.7%)となっている。
◆貸出金残高1位は福岡銀行。前年同期比6,613億円の11兆2,402億円(同+6.3%)。九州地銀18行のなかで、ただ1行だけ10兆円を超えている。20年3月末比+4,233億円(+3.9%)。シェアは26.0%で4分の1を占めている。
・2位は西日本シティ銀行。前年同期比+9,826億円の8兆1,917億円(同+13.6%)。20年3月末比+8,505億円(同+11.6%)。シェアは19.0%。福岡銀行を超える増加額となっている。
・3位は肥後銀行。前年同期比+1,693億円の3兆8,239億円(同+4.6%)。20年3月末比+1,275億円(同+3.4%)。シェアは8.9%。
・4位は鹿児島銀行。前年同期比+2,096億円の3兆7,624億円(同+5.9%)。20年3月末比+2,043億円(同+5.7%)。シェアは8.7%。
・5位は十八銀行。前年同期比+2,323億円の2兆3,523億円(同+11.0%)。20年3月末比+2,988億円(同+14.6%)。シェアは5.4%。十八親和銀行(10月1日発足)の主導権を争っているように見える。
・6位は宮崎銀行。前年同期比+1,103億円の2兆1,226億円(同+5.5%)。20年3月末比+511億円(同+2.5%)。シェアは4.9%。宮崎銀行までが貸出金残高2兆円以上の地銀。
◆7位は親和銀行。前年同期比+2,060億円の1兆9,999億円(同+11.5%)。20年3月末比+2,021億円(同+11.2.%) と大幅増。十八銀行との合併を意識した動きが見える。シェアは4.6%。
・8位は佐賀銀行。前年同期比+2,040億円の1兆9,556億円(同+11.6%)。20年3月末比+1,906億円(同+10.8%)。シェアは4.5%。
・9位は大分銀行。前年同期比+670億円の1兆8,812億円(同+3.7%)。20年3月末比+486億円(同+2.7%)と低迷している。シェアは4.4%。
・10位は熊本銀行で、前年同期比+1,565億円の1兆7,072億円(同+10.1%)。20年3月末比+911億円(同+5.6%)。シェアは4.0%。
・11位は北九州銀行で、前年同期比+724億円の1兆2,426億円(同+6.2%)。20年3月末比+619億円(同+5.2%)。シェアは2.9%。ここまでが貸出金残高が1兆円以上の銀行。
◆12位は南日本銀行。前年同期比+210億円の5,835億円(同+3.7%)。20年3月末比+146億円(同+2.6%)。シェアは1.4%。13位の筑邦銀行、14位の宮崎太陽銀行までの3行が5,000億円台。
・15位は豊和銀行。九州地銀18行のうち、前年同期比2.9%と一番低い伸び率でとなっており、低迷しているのが目に付く。16位の福岡中央銀行までの2行が4,000億円台。
・17位は西日本FHの傘下の長崎銀行。前年同期比+116億円の2,602億円(同+4.7%)。20年3月末比+102億円(同+4.1%)。
・18位は佐賀共栄銀行。前年同期比+133億円の1,953億円(同+7.3%)。20年3月末比+117億円(同+6.4%)となっている。

 【表2】の九州地銀(18行)の預貸率順位表を見ていただきたい。

~この表から見えるもの~
◆預貸率が100%を超えてオーバーローンとなっているのはふくおかFG傘下の熊本銀行、西日本FH傘下の長崎銀行と山口FG傘下の北九州銀行の3行。1位は熊本銀行で預貸率は110.2%。2位は長崎銀行で104.3%。北九州銀行100.9%の3行。
・4位は福岡銀行で94.0%。90%台は福岡銀行1行だけとなっている。
・預貸率が80%台は5位の西日本シティ銀行で89.7%。以下、6位は鹿児島銀行85.6%。7位は十八銀行82.8%。8位は親和銀行80.3%の4行。
・預貸率が70%台は9位の宮崎銀行で78.2%。以下、10位は肥後銀行77.1%。11位は佐賀銀行76.6%。12位は佐賀共栄銀行76.4%。13位は福岡中央銀行76.2%。14位は南日本銀行74.8%。15位は宮崎太陽銀行73.7%。16位は豊和銀行73.6%の8行。
◆預貸率が70%を割っているのは筑邦銀行と大分銀行の2行。17位の筑邦銀行は67.4%。18位の大分銀行は58.3%となっている。

<まとめ>
 預貸率の低い銀行および貸出金残高が1兆円を以下の銀行は、新型コロナウイルスの影響や日銀のゼロ金利政策が継続するなか、ふくおかFG・西日本FH ・九州FGの傘下に入るか、あるいは金融持株会社のSBIの傘下に入るかを、決断せざるを得ない日は遠くないようだ。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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