【地銀再編】電子地域商品券の提供サービスを全国の自治体などに販売 筑邦銀行
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電子商品券で地域活性化
筑邦銀行(久留米市)が、九州電力(福岡市)やネット証券大手のSBIホールディングス(SBIHD、東京都港区)と連携し、地方自治体などが発行するプレミアム付き電子地域商品券提供サービスの全国販売に乗り出した。
プレミアム付き電子地域商品券では、スマートフォンを使って、申し込みから購入、利用、精算まで済ませることができる。九州電力が提供するシステム基盤上で、SBIHD出資のフィンテック企業「Orb」(オーブ、東京都港区)が開発した分散型台帳技術による決済情報などの共有システムを動かしている。
筑邦銀行は9月、うきは市商工会が発行する「うきは市スマホ買い物券」を皮切りに、10月は太宰府市商工会発行の「だざいふペイ」、11月は福岡市の平尾商工連合会発行の「ひらぐらペイ」と箱崎商店連合会(福岡市東区)の「キュッシュレスハコぽっぽ」と、矢継ぎ早に商工会や商店街が手がけるプレミアム付き電子商品券の提供サービスを受注した。このうち「だざいふペイ」では、全国からの参拝客を意識して太宰府天満宮本殿に続く参道沿いの店舗に呼び掛けて加入店を増やしている。
販売額は、うきは市と太宰府市が各1億円、平尾商工連合会は2,000万円、箱崎商店連合会500万円。すべて従来の紙の商品券と併用する。同行デジタル戦略グループは、「ビジネス目線ではなく、地域経済活性化のお手伝いをさせていただいている感覚。来年度以降、徐々に電子商品券の発行割合を高めていければ」と話す。同グループによると、類似のサービスを本格的に提供にする金融機関は全国的にも少なく、岐阜県飛騨・高山地方で全国初の地域電子通貨「サルボコイン」を発行、流通させている飛騨信用組合(高山市)など数例にとどまるという。
進む“地銀連合構想”バックに潜在的大市場
一方で国は、コロナ禍で疲弊する地域経済浮揚のため多額の臨時交付金を地方に配分。店舗支援策としてプレミアム付き電子商品券を発行する自治体や商工団体が増えている。電子商品券の発行は、(1)申し込みから精算までの業務を非対面で進められる、(2)紙の商品券に比べると店舗の口座に素早く入金でき、売上が落ち込んだ店舗に即効的な資金支援ができる、(3)キャッシュレス決済が普及し国のデジタル化推進の動きにも呼応する――といったメリットが挙げられている。
コロナ禍を〈逆手〉に取ったプレミアム付き電子商品券のサービス提供市場が、急速に拡大しているわけだ。筑邦銀行、九州電力、SBIHDの3社は11月24日、地方創生と地域経済活性化に関して相互に連携・協力する包括連携協定を結んだ。これまでは電子商品券発行を担当するセクトだけだった3社の相互協力を、全社的に拡大させる契機になるとみられる。
九州電力は九州全域が営業エリア。SBIHDは、筑邦銀行をはじめ島根銀行(松江市)、福島銀行(福島市)、清水銀行(静岡市)、東和銀行(群馬県前橋市)、きらやか銀行(山形市)と仙台銀行の持株会社「じもとホールディングス」(仙台市)に出資し、“地銀連合構想”を温める。どちらもバックには潜在的な大市場を抱える。
福岡県筑後地方を主地盤にする筑邦銀行にとっては、提携によってプレミアム付き電子商品券発行の仕組み提供をビジネス化させる大きなチャンスがめぐってきたといえる。
【南里 秀之】
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