2024年11月23日( 土 )

【下関市長選出馬の田辺よし子市議インタビュー】「下関からアベ政治(忖度・私物化)を変える」と意気込む

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

安倍前首相の元秘書・元市議の前田晋太郎市長と一騎打ちへ

 ――市長選出馬はいつごろ、決めたのですか。

 田辺市議 6月には決めていましたが、そのときは発表しませんでした。11月20日に市長選の説明会があったので、それに出席したので、そこで発表しました。

 夏ごろから新聞記者は知っていたみたいで、記事を書かせてくれと言われたのですが、説明会があるまでは待ってくれということで説明会に出た後に出馬表明をしました。地元紙は「田辺よし子市議出馬」という記事を出してくれました。

 いま下関市議会中で12月14日に最後の質問をするので、議会が終わる15日に議長に辞表を提出して、出馬会見を開く予定です。

 ――昨年12月に野党国会議員が下関入りした当時は、「林派の議員を説得してみる」と話していました。

 田辺 林派下関市議で(林派市長だった)中尾市長が落選したときの選挙で、前田市長を応援しなかったということで議長を引きずり降ろされた人もいて、「中尾前市長は次(2021年4月の市長選)出ないだろうから、立候補しないのですか」と聞いたのですが、みんな腰砕けというか、市議も県議も出ようとしなかった。安倍派市長と戦って引きずりおろそうとはしなかった。

 もう1つは、安倍前首相の総理辞任と桜を見る会再燃のため、地元でまったく力がないのです。地元の筆頭秘書の配川氏が逮捕されるわけでしょう。それで安倍事務所も右往左往しています。そんな中で安倍派が前田市長の応援がどこまでできるのか。恐らく、あまりできないでしょう。だから安倍派市政を奪還する絶好のチャンス到来なのです。だから林派市議や県議から誰か出るだろうと思っていたら、私が何人か声をかけてもみんな腰砕け状態でした。

 それと、安倍前首相の影響力が低下したので自民党下関が「地元の安倍派が分裂、前田市長以外の候補者が出るのではないか」との見方も流れていました。今年11月末頃に下関の市議と県議と国会議員を全部呼んで、前田市長に対する公認証の授与式をしました。だから「自民党公認は前田市長1人だぞ」と自民党は一枚岩であることをアピール、安倍派分裂に釘を刺す動きがありました。

 それに林派議員は流されているものだから、それに反して「自民党公認がなくても俺が出る」と言い出す人はいません。

 ――ただし、これまでの下関市長選は、安倍派候補と林派候補が戦ってきたので、来年4月も同じ構図になるのかと思っていました。

 田辺 だから林派の関谷市議(元議長)や林派塩滿県議(下関選挙区)に「出なさいよ」と言いました。だけど、出馬しません。踏み絵を踏まされて、そのまま従っているだけでした。だから親分の林芳正参院議員も肝っ玉が小さいというか、安倍前首相率いる地元の安倍派と戦おうとしません。山口3区出馬を匂わせたら二階派が20人も国会議員を送り込んできたのに、それに対して戦おうとしていません。

 ――二階派が抑え込もうとしてきたのなら林参院議員は、次期衆院選と下関市長選を連動させて二階派や安倍前首相と戦ってもおかしくないです。

 田辺 そうすれば、いいのに戦おうとしない。

 ――来年の下関市長選は、「安倍派現職市長 対 林派支援の田辺市議」という構図にはならないのですか。

 田辺 表向きにはなりません。自民党が「一枚岩になって前田市長を支援する」という態勢を取っているためです。林派議員に対して「おまえは自民党ではないか。自民党公認の前田市長をなぜ応援しないのか」と支援を迫ることができるのですが、面白いことに林派市議や県議のなかにも「田辺さん、頑張れよ。応援しているからな、前田市長を落とそう」と密かに言ってくれる人がいる。市役所のなかにも「田辺さん、頑張ってください」という職員がいる。これは面白い選挙になりそうです。

 22年の市議歴は前田元市議よりも私のほうが長いし、普通の市民は私を応援して、大企業や富裕層は前田市長を応援するという選挙になるかもしれません。今回の市長選は、一騎打ちの戦いになりそうです。共産党を含む地元野党関係者とも話をして、山口4区には野党連合候補として竹村氏を支援して、下関市長選では田辺市議を応援することになりました。

 ――「野党統一候補の草の根市民市議」対「自民党公認大企業支援の現職市長」という構図になると。

 田辺 「応援します」と言ってくれる市民が次々と声をかけてくれます。チラシに政策をまとめてHPにも掲載していますが、それを読んで支援表明をしている人もいます。自治会長のなかにも応援してくれる人もいます。

 安倍前首相を頂点とする忖度・私物化政治に対して、一般市民が市政を取り戻すというかたちになっています。アベ政治を下関から変える市長選ともいえます。まさに安倍前首相の秘書から市議を経て市長になったわけですから。

 ――桜を見る会の疑惑再燃で安倍前首相の評判はがた落ちですか。

 田辺 辞めた時点でガタ落ちして、それに追い打ちをかけたという感じです。「またかよ」という感じです。同情論は広がたなかったです。

 ――配川秘書は下関にいるのですか。

 田辺 下関にいるようですが、安倍事務所にはいないと聞いています。配川秘書以外の秘書も桜を見る会参加の人数集めはしているが、配川秘書が1人でやったとしてトカゲの尻切りになるのではないか。

 12月14日の最後の一般質問では、前田市長の姿勢を改めて問います。桜を見る会と下関市立大学の問題と市役所の前に喫茶店を個人につくらせたのですが、全部私物化です。市長がこんなに私物化をしていいのか、こんな市長でいいのかを問います。

 ――政治の私物化という点では、安倍前総理と同じだと。ミニ安倍市長という感じですか。

 田辺 まったく同じです。22年間市議をやって来ましたが、もう我慢ならないので市長選に出るということです。

 ――参院議員の江島潔・下関市長時代の安倍系企業受注の談合事件も、市議会で追及したと。

 田辺 当時もひどかったですが、今の下関市政は最悪です。私物化や忖度が横行しています。

 桜を見る会に対する市長の政治姿勢についても聞きます。桜を見る会の招待客のなかに、どういう功績があって呼ばれたのか。功績や功労がないものが呼ばれているが、市長としてどう考えるのかと質問する予定です。

【ジャーナリスト/横田 一】

関連記事