期待が高まるワクチン開発ニュース(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
先月、ファイザー社とビオンテック社のワクチン、モデルナ社のワクチンが第3相臨床試験で90%以上の効果があったという中間解析結果が発表され、全世界で新型コロナウイルス感染拡大の収束への期待が高まり、株式市場もそれに反応し、活況を呈した。
この2つのワクチンには、効果が高く、mRNA(メッセンジャーRNA)でつくられたという共通点がある。
ウイルス感染を予防するワクチンには、ウイルスが侵入する経路を遮断して感染を防ぐワクチン、ウイルスRNAの複製を防止してウイルス感染を予防するワクチン、RNA遺伝子を切る「はさみ」を利用してRNAを切断しウイルス感染を予防するワクチン、既存の治療剤を応用したワクチンなどさまざまな種類がある。
これまでのワクチンは一般的に、病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めるか、病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせたものを原材料としてつくられてきた。
一方で、遺伝子工学の技術の進歩により、mRNAを利用した新しいワクチンが登場している。mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝情報をヒトに投与し、ヒトの体内でウイルスのタンパク質をつくらせることにより、免疫を誘導する。体内でつくられたウイルスのタンパク質は、感染を起こさずに免疫のみを誘導する効果がある。
mRNAワクチンには、製造過程での感染リスクが低く、遺伝情報さえわかれば、1カ月前後という短期間で開発できるというメリットがある。タンパク質を直接つくって人体に投与するより、mRNAを活用して人の体内でウイルスのタンパク質をつくらせる方が迅速に対応できるとされる。
世界に先駆けて新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した会社の1つである米国モデルナの発表によると、mRNAワクチンを3万名に投与した結果、感染の予防率が94.1%に達したという。これは、先月16日に発表された中間解析結果の数値である94.5%とほぼ変わらない結果となった。モデルナでは第3相臨床試験に参加した3万名のうち、半数の1万5,000名には新型コロナウイルスのワクチンを投与し、残りの1万5,000名には有効成分が含まれていない偽薬を投与したとされる。新型コロナウイルスのワクチンを投与された1万5,000名では、11名の感染者が発生し、偽薬を与えられた1万5,000名では、185名の感染者が発生したという結果となった。
今回の第3相臨床試験の参加者には、65才以上の高齢者7,000名、糖尿病や心臓疾患などの慢性疾患を患う青壮年5,000名も含まれている。その人種も、黒人、アジア人、少数民族など多種多様であった。
合計196名の感染者のうち、186名は偽薬を投与した集団から発生したため、ワクチンの予防率は94.1%に達するとわかった。臨床試験の最高医療責任者は、ワクチンが年齢、人種、性別に関係なく、一定の効果を示し、重大な副作用もなかったことを付け加えた。
(つづく)
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