2024年11月21日( 木 )

11期連続で増収増益 福岡発セーフティズコンサルタント

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(株)グリーンクロス

全国50カ所に拠点を構える安全用品を取り扱う業界のリーディングカンパニー

 工事現場で使われる安全用品などの販売・レンタル、看板・サインメディアの製作・販売を柱に、総合安全商社として業界トップクラスのシェアを誇る(株)グリーンクロス。

 土木・建築の現場における「安全対策」を専門とする同社は、1969年1月に交通標識製作所として創業したのが始まり。71年7月に法人化し、83年5月に現商号へと変更。96年12月には福岡証券取引所へ株式上場をはたした。

屋内のさまざまなサイン広告を手がける
屋内のさまざまなサイン広告を手がける

 99年2月に、屋内外の広告・看板を制作する「グリーンメディア事業部」を開設し、同年11月に安全機材レンタルの「グリーンレンタル事業部」も開設。その後、2011年3月には佐賀県鳥栖市に「グリーンクロスロジスティクス」を開設し、翌月に久保孝二氏が代表取締役に就任した。現在、関連会社には道路工事を始めとする工事現場の安全機材を提供する東亜安全施設(株)、屋外広告の設計や施工・メンテナンスを行う(株)トレード、北斗ネオン(株)、外注先を一元化し管理する(株)G-サインがある。

 多様化する現場・社会のニーズに先んじて事業や商品の展開を行ってきた同社。いまや北海道と北陸を除く全国50カ所に拠点を構え、約260人の営業担当者が公共工事の落札情報を常に追い、建設会社に機材の種類やレンタル数量を提案している。また、そのすべての拠点で倉庫を併設し、即納できる体制を整えている。

 そんな同社は20年4月期まで、11期連続で増収増益をはたしている。その原動力について久保代表は、「約20年前から工事予算が削られる一方、企業の安全への意識は格段に高まり、安全機材の需要が増えてきました。とくにレンタル事業の売上高比率は10年前はわずか数%でしたが、19年度には約30%まで伸長しました。また、サインメディア事業や看板クリニック事業も約30%を超えています。こちらもまだまだ成長の余地があります。本年度中に外部の施工業者と連携する専門サイトを立ち上げ、老朽化した看板の管理・保守にも注力していきたい」と話す。

働き方改革やデジタルシフトで人材が力を発揮できる環境を整備

現場と工期に合わせた安全用品を網羅
現場と工期に合わせた安全用品を網羅

 顧客に合った提案から製作、配送・設置までをワンストップオペレーションで提供する同社は、全国展開しながらも、その地域ごとの特色を大事にし、地域密着型企業として社会貢献する企業を目指している。その姿勢は、17年12月に経済産業省の「地域未来牽引企業」()に選定されたことでも実を結んだ。多様な社会環境に沿ったニーズに誠心誠意応えることを使命とする同社の社会貢献に懸ける思いの強さや、これまでの実績が認められ、かたちとなったといえる。

 「お客さまに満足いただける商品やサービスを提案するには、まず提供側の心が豊かである必要がある」と考える久保代表は、人材育成にも力を入れている。同社では生産性向上のため、全社午後7時退社を徹底し、リフレッシュ休暇の導入やバースデー休暇の拡充、冠婚葬祭の帰省補助などの諸制度を充実させている。

 また、社員の自己成長もサポートしており、約1000以上の通信教育講座から選択・受講し、修了後には会社側から口座代金が返金される自己啓発支援制度なども完備。自らのスキルアップを図るとともに「どうすれば会社の業務改善・効率化を行うことができるのか」を考え、実践できるようになっている。さらに20年6月には「健康経営宣言」を制定。社員および家族の健康、労働環境の整備にも注力している。

 社員のスキル向上に加え、健康管理にも細心の注意を払うなど働き方改革を進めるなか、デジタル化の波に出遅れないようにデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にも早期から取り組んできた同社。直近では社内サイトを一新し、稟議書の提出から社内報閲覧、見積書のひな型まで1つのサイトで手続きが行えるよう整備した。そのおかげで社員間で商材の仕入れ先の確認や実績管理もできるようになり、提案力の向上にもつながっている。

コロナ禍の影響を前向きに捉え企業をサポートする新たな提案を

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、同社にもさまざまな影響をおよぼした。「東京五輪の聖火リレーなどやそれに付随するイベントなどを見据えてコーンなどを仕入れていましたが中止になってしまいました。コーン自体は転用できますが、3億円近い受注がなくなりました。ただ、工事現場用マスクなどは好調で、今期の4〜5月の売上高は前年比微増になりましたが、現場の人手不足には拍車がかかっている状況です。幸い、当社では分散出勤&テレワークを違和感なくスムーズに行うことができました。今後は現場と事業所をネットでつなぐなど、省人化ツールの需要も高まると思いますので、デジタルツールの提案なども行っていきたいと考えています」(久保代表)。

 コロナ禍の影響はあったものの、臨機応変に対応することで20年4月期は売上高169億円と変わらぬ好調ぶりをみせた同社。今後の展望について久保代表は、「22年度末までにレンタル事業の売上高比率を40%にしたいと思います。現在は群馬や茨城など北関東への進出も計画しています。合わせて各拠点で配送担当を2〜3名増員し、一部で営業担当が兼ねている配送業務の分業を進めていきたい。さらに機材輸送の効率化も図っていく」と笑顔で語る。

※:地域特性を生かして高い付加価値を創出し、経済効果の波及により地域の経済成長を牽引する事業を展開する中核企業。 ^


<COMPANY INFORMATION>
代 表:久保 孝二
所在地:福岡市中央区小笹5-22-34
設 立:1971年7月
資本金:6億9,726万円
TEL:092-521-6561
URL:https://www.green-cross.co.jp


久保 孝二 氏<プロフィール>
久保 孝二
(くぼ こうじ)
1971年2月生まれ。89年に大阪教育大学中退。98年7月に(株)グリーンクロスに入社。2008年8月に久留米支社長代理、04年5月に営業開発次長、05年5月に執行役員営業開発部長、08年7月に取締役などを歴任。11年4月に代表取締役に就任。

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