島おこし作戦第1弾は「進撃の巨人」の創作料理とパネル展~長崎市伊王島町
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ファンも大満足のパネル展と力作メニュー
今夏公開を予定している人気漫画「進撃の巨人」(原作:諌山創氏、講談社)の実写映画に先立ち、長崎市伊王島町で、映画とタイアップした島おこし企画が1月27日から始まった。今年末までの間、島の各所には、映画や原作のパネルが展示され、また、「進撃の巨人」をイメージした創作料理が味わえる。実写映画は、世界遺産登録を目指す「明治日本の産業革命遺産」に含まれる軍艦島(端島)でロケを実施。その際、出演者や撮影スタッフは伊王島に滞在していた。二部に分けて公開される実写映画の成功を祈る伊王島の人々。創作料理にはその想いが込められたかなりの力作になっている。
「原作の世界観をイメージした」という手打ちそば処「おおむら」のメニューは、「進撃の蕎麦」(980円)。人を食らう巨人から身を守るために壁の中の街で暮らす人々を、竹炭をそば粉に練りこんで作った真っ黒なそばでいのちを表す卵で表現した。コシがある手打ちそばをあっさりとしたツユをかけて食べる。一方、自家製麺所うどん屋「がく」では、原作で壁を破壊する超大型巨人の目元をイメージした「進撃のうどん」(600円)を開発。同店こだわりの手打ちうどんに卵とズワイガニなどが載せられている。温と冷をお好みで選ぶこともでき、うどん通も納得の味だ。
「長崎温泉 やすらぎ伊王島」内のレストラン「Family Dining うららか」では、魚介類が豪快に盛り込まれた「進撃の海鮮丼」(1,580円)が振る舞われる。巨人が壁を乗り越えるかのように丼からはみ出す魚の刺身たち。長崎の新鮮な魚介類を一気に堪能することができるぜいたくな一品である。「長崎温泉 やすらぎ伊王島」では、2名以上で利用できる「進撃のデイユースプラン」を用意。客室と温泉、そして「進撃の海鮮丼」がセットで1人3,550円からとお得。
伊王島ターミナルにある「Cafe ODAYAKA」では、原作の調査兵団、駐屯兵団などから好きなエンブレムが選べる「進撃のパンケーキ」(780円、ドリンクセット980円)が楽しめる。丁寧にエンブレムが描かれたパンケーキは食べるのがもったいないほど。キャラクターを描いた「進撃のクッキー」(1個120円)もある。このほか、伊王島港「屋台カフェ」の「進撃黒豚ドッグ」(単品756円、セット1,000円)や、寿司処「おおはら」の「進撃のチラシセット」(1,400円)があり、1度ならず、2度、3度と訪れても楽しめるほどラインナップは充実している。
サブカルチャーと歴史による地域振興
今回の企画は、伊王島・池島・高島の地域振興を目指すNPO法人「長崎アイランズアクト3(iA3)」と、実写映画の軍艦島ロケに協力した「軍艦島コンシェルジュ」((株)ユニバーサルワーカーズ)、「長崎温泉 やすらぎ伊王島」の3団体で進めてきた。実写映画の樋口真嗣監督と縁があったのはまだ同映画の話が出ていなかった約2年前。樋口監督はサブカルチャーによる島おこしに賛同し、それから1年半かけてロケの誘致につながったという。
iA3の岩坂親続理事長は、「起爆剤となる斬新な発想から、次の成功につなげていきたい。進撃の巨人に興味のある人たちに来ていただいて、島の魅力を伝えていきたい」と語る。自然が豊富でのんびりとした雰囲気が気に入り、5年前に伊王島に転居したという岩坂理事長。NPO法人では島の美化につながる清掃活動も続けている。一方、「軍艦島コンシェルジュ」では、4月から軍艦島上陸ツアーに伊王島への寄港を盛り込む予定。伊王島で進撃グルメを満喫した後、ロケ地となった軍艦島を上陸見学することができるようになる。伊王島ターミナル内のお客様ラウンジでは、映画と原作のパネルを展示しており、各種グッズを販売中だ。
余談だが、伊王島は、徳川幕府の禁教政策による厳しい弾圧から逃れた人々が海を越えて移り住んできた歴史を持つ。明治になり、キリシタン禁制の撤廃された後に建設された馬込教会(国指定登録有形文化財)は、伊王島の人々の深い信仰を感じさせる建物だ。海という壁に隔たれた島で暮らす人々、それは「進撃の巨人」の世界観に通じるものがあるのではないだろうか。サブカルチャーを通じながら、そうした歴史に想いを馳せることができるのも伊王島の魅力と言えるだろう。
【山下 康太】
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