2024年12月22日( 日 )

【IR福岡誘致特別連載17】誘致実現はコロナ収束後のまさに"福袋"

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政治・行政の体質を変えられるターニングポイント

 新年、明けましておめでとうございます。
 とは言っても、年末からのコロナ感染再拡大は政府や医療機関を直撃、各関係機関の予測をはるかに上回る様相で、菅政権および小池東京都知事率いる都政が世間からの厳しい批判に晒されて喘いでいる。誠に、お粗末な新年の環境である。

 これは、誰しも経験がなく、単に批判する方にも問題はあるが、すべてに“後手後手の危機管理”の甘さが、結果として露呈していることに間違いない。多分、これは与野党の誰がやっても、その結果は大同小異であろう。ましてや、テレビで批判するコメンテーターほど、このような環境で楽な人たちはいない。

 筆者は重ねて説明してきたが、所詮、この国の組織人たち(とくに行政・民間を問わず、企業サラリーマン幹部など)は“危機管理”を得意ではないのだ。触らないのが一番で、この国の文化といってもよいほどであり、何かあるとガバナンス、コンプライアンスという言葉を使って言い訳に終始している近年の彼らの姿勢を見る限り、はじめから無理な話なのだ。今の世界的なコロナ禍の戦時下、法がどうのこうのと言っている場合ではない!

 批判している人たちに「あなたならどうするのか?」と問いかけると、ほぼ皆さん上記と同様の答えが返ってくる。誰しもがテレビのコメンテーターになっていて、責任を取る立場にある誰もが、個人的な理由でこれを恐れているのだ。

 新型コロナの感染再拡大はまさに戦時下のような状況であり、彼らの認識は甘い。
 太平洋戦争の開戦間もないころに、突然、予想外の米国からの東京空襲(ドーリットル爆撃隊)を受けるも、その被害は小さく、その後もこれに対応した具体策がなく、3年後の1945年8月に広島と長崎に原爆を落とされるまで、時の政府がその危機管理のすべてを決断できなかったわけである。

 この国の官僚国家は、その頃と変わっていない。先日、橋下徹氏が同様のことをテレビで言っている。まさにそのとおりで、このコロナ禍の環境は、それを変えられるまさに良いターニングポイントなのだ!

 森友、加計問題など、すべての“根っこ”は同じ。忖度だらけのなかで、首相を筆頭とする政治家や官僚の飲酒をともなう密な会食など、度重なるその姿勢は国民に示しがつかないが、その原因は何なのか?要は、政府も行政も国民も含めた平和ボケの一言であろう!

 これでは、行政先行の横浜、大阪、和歌山、長崎のI R誘致開発実現などは、まず不可能である。できるはずもないオリンピックについても、いまなお延期するか中止するかを決断しない。行政機関のすべての“根っこ”は同じなのである!

求められる新型コロナ収束後の雇用創出

 その点、IR福岡誘致はほかとは異なる姿勢で、若くて勇気のある人たちが中心となり、JC福岡を含めた民間先行で行っている価値ある準備組織である。

 IR誘致開発というものは、一見、有形の資産価値とみられがちであるが、これは世界的に著名なブランドと、その有するソフトウェア(エンターテイメントビジネス、教育など)などの無形の資産価値を福岡に誘致するという、将来的な価値があるものである。実現すれば、どれだけの優秀な若者たちがここから育って行くか、本当に魅力的である。

 これらを理解することなく反対するのは簡単であるが、これを実現しようとする前述の若者たちは、その何倍も難しいことに挑戦している。彼らに私利私欲があれば、ほかの人を説得することは絶対にできないであろう。

 ちなみに、JR九州の昨年の営業収入は約4,300億円、西日本鉄道もほぼ同額だ。コロナ禍で両社ともに半減している。合わせて約4,000億円の逸失だ。福岡市営地下鉄の300億円を合わせると、ほぼJR九州一社分の収入がなくなっており、凄い金額の逸失利益である。

 また、この問題で派生した派遣切りで、苦しんでいる人たちがたくさんいる。それゆえ、コロナ収束後には新たな職場をつくる必要があるのです。また、これは世界的に著名な投資家による巨額な投資で、一般の人々を多く雇用し、この格差社会を少しでもなくし、それを埋めようとするプロジェクトなのだ。ギャンブル依存性などの比ではない。

 もし、海の中道へのIR福岡誘致を実現できれば、天神、博多駅からのJR九州、西鉄、市営地下鉄を利用する来場者の運賃収入は(ともに往復1,000円で計算)、月間約100万人の利用で10億円、年間で120億円となる。これは大変粗削りな数値であるが、間違いない近似値だ。

 さらに、これに在来線と新幹線などの運賃を加算すると、仮に1人5,000円平均の運賃収入とすれば、この5倍に当たる年間600億円となる。10年間で、一気にJR九州一社の1.5倍の収入に値する・この計算の根拠となる基本計画書は、あちこちの行政先行で作成した御用達の調査会社ではなく、米国のプロの調査会社が作成したもので、各種数値には信憑性があり、すでに各関係機関には提出済みと聞いている。

 これは、コロナ収束後の驚異的な経済再生策となるはずである。これによる2万人の雇用創出効果も、疑いなく十分に納得できるものだ。

 九州経済連合会をはじめとする、地元福岡経済界の人たちも行政ばかりに任せにせず、積極的に彼らと接触し、今年は先を考えた責任ある行動をすべきと思慮する。

 コロナ感染再拡大の収束後の経済再生、新たな雇用創出に向けて、これだけのチャンスはほかにない。まずは、出来もしないIR長崎への協力などを理由にせず、不採算路線の直接恩恵を受けるJR九州、西鉄の幹部の人たちから率先して、個人的な立場を恐れず(依存性などの批判などは本質的な批判ではなく、経済弱者から見た格差問題との比ではない)、彼ら若い人たちが主導する“福袋”IR福岡誘致の実現に、もっとそれぞれが相互協力すべきと考える。

【青木 義彦】

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