2024年12月21日( 土 )

コロナ禍でも今後に向けた協力を促進、九州-ベトナム関係の全面的な発展を(中)

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駐福岡ベトナム社会主義共和国総領事 ヴー・ビン 氏

 九州には3万9,207人(法務省、2019年12月6日時点)と多くのベトナム人が居住し、身近な存在となってきている。20年には初となるベトナムLCCの九州路線就航やベトナム国会議長の九州訪問などが予定されていたが、新型コロナウイルスの影響でいずれも実現しなかった。コロナという逆風が吹き荒れるなか、ベトナムは九州との人的・経済交流を質的に発展させるために、IC・ICT商談会やベトナム人労働者の技能向上などに注力している。ヴー・ビン駐福岡総領事に話を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

在住ベトナム人の保護のため九州各地を回る

 ――留学生、技能実習生を含め、多くのベトナム人が九州に住んでいます。新型コロナ感染防止のためにどのような活動を行いましたか。 

 ヴー 在住ベトナム人の安全を守ることに注力しました。日本側の関係機関、組織と協力・連携を強化し、地域に住むベトナム人の安全を守るために多くの活動を行うとともに、各地方の感染症対策、活動にも積極的に協力しました。地域にいる4万2,000人以上ものベトナム人に対して、彼らが動揺せずに落ち着いて自分の生活を安定させるように、また、日本側が定める地域のルールを最大限守って、感染症対策などをよく行い、周囲の安全維持にも積極的に当局と協力するように、積極的に情報を発信しました。連絡は主にオンラインまたは電話で行いましたが、必要に応じて、リスクを承知の上で直接現場に行き、会うこともありました。

 ベトナム人の感染者もしくは感染疑いのある人が出たときに、彼らを励まし、助言と支援を行うとともに日本側の関係機関に繋げて、スピーディーに連携しながら、彼らがパニックにならないように必要な対策を講じて安全を守るようにしました。また感染拡大を防ぐため、ベトナム人の感染者もしくは感染疑いのある人を追跡するにあたり、日本側にも協力しました。 ベトナム人の感染者もしくは感染疑いのある人が出たときに、彼らを励まし、助言と支援を行うとともに日本側の関係機関に繋げて、スピーディーに連携しながら、彼らがパニックにならないように必要な対策を講じて安全を守るようにしました。また感染拡大を防ぐため、ベトナム人の感染者もしくは感染疑いのある人を追跡するにあたり、日本側にも協力しました。

 たとえば、4月ごろ、福岡市の5人のベトナム人が集団感染し、ほかにも個別で数人が感染しました。夏には熊本県の造船会社の事業所でクラスターが発生し、50人以上のベトナム人が感染しました。また、10~11月に福岡市のベトナム雑貨および食品販売店で6人が感染しました。いずれのケースでも、関連のベトナム人と日本側の自治体や保健機関などと密接に連携し、感染拡大を防ぐことができました。

 これらの活動のため、私と館員で管轄の8県(九州・沖縄)、約30カ所の地域を訪れ、現地で経済協力を促進し、文化交流を推進する活動を行うとともに、懸案事案を解決できるように協力しました。その都度、滞在期限の満了で帰国を望む在住ベトナム人、交代の人材を受け入れる企業の希望および日本語学校などのベトナム人留学生の受け入れなどに関する情報も収集し、対応しました。 

 20年は世界全体、そして私たちの地域においても大きな変動があった年でしたが、私たちは、主体的かつ積極的に自分たちの任務、責務を遂行し、数多くの有意義な活動を行えたと思います。これらを通して、九州各地域とベトナムとの友好協力関係を維持し、さらに発展させることができました。 

(つづく)

【文・構成:茅野 雅弘】


ヴー・ビン 氏<プロフィール>
ヴー・ビン
(Mr. Vu Binh)
1961年生まれ。駐米国ベトナム大使館参事官、ベトナムユネスコ国家委員会副事務局長、駐ギリシャベトナム特命全権大使などを歴任。ベトナムの国家から「大使」の職位を与えられる。2019年5月、駐福岡総領事に着任した。英国ブラッドフォード大学大学院で国際開発修士号を取得。

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