コロナ禍でも日中の絆を再確認、2021年は人的交流の全面復活を(前)
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中華人民共和国駐福岡総領事 律 桂軍 氏
2020年、中国は未知の新型コロナウイルスの影響を最初に受けたものの、早い段階で新規感染の抑え込みに成功し、第2四半期からはGDPをプラス成長に転じさせ、通年でのプラス成長が見込まれる。対外的にはRCEP(地域的な包括的経済連携)を締結し、国際市場・国内市場の循環を発展モデルに掲げる一方、コロナ支援と国益をリンクさせた外交も国際社会から注目された。今後、中国をどう認識し、どう付き合うべきか。20年6月に中華人民共和国駐福岡総領事に着任した律桂軍氏に話を聞いた。
対コロナ協力で日中の絆を再確認
――福岡の印象はどうですか。
律桂軍氏(以下、律) これまで東京の大使館に4度赴任し、約12年勤務しました。福岡勤務は初めてですが、すばらしいところです。気候がよく、農産物や魚などを非常においしくいただいています。九州・福岡は中国との交流の玄関口として歴史的に大きな役割をはたしており、中国との文化的つながりが強い地域です。現在もその歴史的な足跡が残っていることに深い印象を受けました。
――総領事館のこの1年の活動についてうかがいます。
律 前代未聞、100年に1度という新型コロナウイルスの襲来により、多くの人々の生命が失われ、経済的にも大きな打撃を受け、人と人との交流も寸断されました。コロナとの闘いは真冬にいるかのような状況で、私たちは今なお暗いトンネルのなかを走っているようなものです。IMF(国際通貨基金)の予測によりますと、世界経済は前年比4.4%のマイナス成長が予想されています。日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国など西側の主な経済大国はそれ以上のマイナスとの予測です。
ただ、暗いなかにも光が差しており、寒い冬のなかでも温もりを感じました。日中関係についていえば、中国国内で最初にコロナが発生したとき、九州、福岡の自治体、民間団体、企業の皆さんが即手を差し伸べて、さまざまな支援をしてくれました。そして日本国内でもコロナが猛威を奮い始めたとき、中国人が我がことのように大規模な支援活動を展開し、大量のマスク、フェイスガード、防護服、テストキットなどを日本に送りました。
多くの交流イベントが延期または中止になったとはいえ、相互支援・支持の活動によって日中間の伝統的な友好・協力関係、絆はむしろ強くなりました。日本が支援物資を中国に送る際に「山川異域、風月同天(山河は異なろうとも風月は同じ天下にある)」という漢詩を記したという、心温まるストーリーが中国で幅広く伝えられ、日中友好を強く実感させました。今年の日中間の交流、特別な状況のなかでの交流によって強められた絆は歴史に残るものとなり、重要な歴史遺産になるでしょう。
領事活動では、九州に居住する約4万人の華僑への支援を主に行いました。彼らの企業の大半は中小の旅行会社、中国料理店で、コロナで深刻な打撃を受けており、生きるか死ぬかの境界線上でさまよっている人もいます。当館として、マスク、漢方薬の提供など、できることは可能な限り行っています。
華僑には、政府・自治体・学校などの政策を知り、その要求、ルールを順守して、自身のことをしっかりと行い、コロナとの闘いにおいて手本を示してほしいと話しています。周囲の日本人に溶け込み、一緒にコロナと闘うことが非常に重要です。
(つづく)
【茅野 雅弘】
<プロフィール>
律 桂軍(りつ・けいぐん)
1967年生まれ。99年中華人民共和国駐日本国大使館アタッシェとして着任。以後、中国外交部アジア局処長(課長)、駐日本国大使館参事官、外交部アジア局参事官、駐シドニー総領事館副総領事、駐日本国大使館公使参事官を歴任。2020年6月、駐福岡総領事に着任。関連キーワード
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