【長期連載】ベスト電器消滅への道(3)
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かつて家電業界で日本一の売上高を誇ったベスト電器がヤマダ電機に完全に吸収された。なぜ、このように消滅するという事態になったのか!当社は長期にわたってベスト電器に関する記事を連載してきた。まず、ベスト電器がかつてビックカメラと合併しようと画策を講じたが、破談となった当時のことを報告する。
ベスト電器の再生を阻む過去のくびき(3)
(2012年3月7日掲載)
泰陽商事を解散させ、ホクエイをつくった目的は何なのか。投書では「この泰陽商事を、2011年2月期決算終了までにダミー会社に買い取らせ闇に葬るべく、急ピッチでホクエイがつくられた」とされる。その背景は、「ベスト電器は公認会計士の再三の指摘にも関わらず、泰陽商事を連結対象としなかった。それはなぜか。同社は過去、ベスト電器の株価操作、インサイダー取引および土地や関連会社などの転がし、利益供与および損失抱き込みなど不正経理の温床だったため」という。
所在地や役員構成などからたどれば、泰陽商事がベスト電器とまったく無関係とはいえない。ベスト電器の決算書にある保証債務の項目にも、泰陽商事の名前が出てくる。したがって、投書がまったくのデタラメを書いているとは到底思えない。
ここでホクエイの事務所の隣に目を転じると、ベスト電器の創業者・北田光男氏の遺産と同社株の配当で運営されているといわれる「財団法人北田奨学会記念財団」の事務所がある。現在、同財団の理事長にはベスト電器の3代目社長だった有薗憲一が就いている。また、事務局長は同社の4代目社長だった濱田孝氏だと言われている。
この財団は、学生に対して奨学金を与えるのが主な事業内容だが、現在は「お茶やジュースの自動販売機、健康食品などをベスト電器社員や取引先に売りコミッションを得て、また北田財団にコミッションを落として給与を得ている」(投書)という。
"ベスト電器関係者"と名乗る人物からによる投書では、「ハイエナのように当社にたかる者」として有薗・濱田両氏ほか旧役員の実名が挙げられている。また別の関係者によれば、両氏はベスト電器の相談役、顧問として残っているとされている。しかも、2010年2月期決算で大幅赤字の責任をとって、有薗・濱田両氏は辞任したはずだ。社員も現在までに600人以上カットされている。
にも関わらず、そのとき両氏は多額の退職金を受け取ったとされる(有薗氏は7,000万円とも)。大量のリストラや給与カットなど社員を犠牲にしているにも関わらず、旧経営陣は何の責任もとらないどころか、今なお隠然たる影響力を有しているとする証言もある。これは、当社に寄せられた投書に共通している感情であり、もし事実であるならば、ベスト電器の再生を阻む過去のくびきと表現できる。
(つづく)
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