2024年11月23日( 土 )

「減塩」を軸に食事で健康になれる環境整備へ~厚労省の検討会発足

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無関心層もカバーできる方策を視野に

 家庭料理や外食・中食といった日ごろの食事で健康になれる食環境の整備へ向けて、厚生労働省は5日、「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」(武見ゆかり座長)の初会合を開き、取り組み方針の検討に着手した。5~6月をめどに報告書を取りまとめる計画だ。

 健康な状態で生活を送れる「健康寿命」の延伸が目的。日本人の死因を見ると、がん・心疾患・脳血管疾患の3つで全体の5割以上を占める。主な要因に喫煙や運動不足などがあるが、食事面では食塩の過剰摂取がもっとも大きなウェートを占めている。

 日本人の食塩摂取量は年々減少し、2019年時点で1日あたり10.1g。しかし、厚労省の「健康日本21」で定めた目標の8gは未達。さらに、WHO(世界保健機関)が推奨する1日5g未満にはほど遠い状況にある。

 このため、同検討会では減塩の推進を軸に検討を進める方針。減塩などを推進する食環境を整備するうえで鍵を握るのが、食品メーカーや流通小売企業などの取り組み。

 食塩は家庭料理で使う調味料からもっとも多く摂取されているが、たとえば、塩分を大幅にカットした調味料の開発やスーパー店頭での販売促進が活発化すれば、自然と減塩につながるとみられる。出席した委員からも、「高血圧の人では1日8gまでは個人の努力によって下がるが、そこから先は個人の努力よりも環境整備が必要になる」との意見が寄せられた。

 減塩などを推進する場合、「無関心層へのアプローチが大切」という意見も聞かれた。健康に対する意識が低い人であっても、日ごろの食事で自然と減塩などが推進されるような食環境をどう整備するかも、今後の論点になる。

 また、焦点の1つとなるが、持続可能なフードシステムの構築。これは、SDGs(持続可能な開発目標)達成へ向けて国連が重視する「持続可能なフードシステムと健康的な栄養パターンの構築」に対応したもの。

 その実現へ向けて、食品メーカーや小売業などの関係各社が適正な利益を確保しつつ、国民の健康増進に貢献できる商品の開発や売り場づくりを推進することが不可欠となる。同検討会では、そうした点も念頭に置きながら検討する考えだ。

【木村 祐作】

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