九州地銀の2021年3月期 第3四半期(12月期)決算を検証する (2)
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【表】を見ていただきたい。九州地銀17行(FG・FH含む)の純資産残高順位表と自己資本比率推移表である。
~この表から見えるもの~
(1)金融グループの純資産残高・自己資本比率順位表
◆純資産残高の1位はふくおかFG(3行)で、前期比+663億円の9,193億円(同+7.8%)。
・2位は九州FG(2行)で同+510億円の6,707億円(同+7.8%)。
・3位は西日本FHで同+255億円の5,342億円(同+5.2%)。上位グループと比較すると微増。
・北九州銀行を傘下に置く山口FGは同+221億円の6,523億円(同+3.5%)。◆自己資本比率の1位は九州FGで、前期比+0.28%の11.17%。
・2位はふくおかFGで同+0.03%の10.72%。
・3位は西日本FHで同+0.12%の9.48%。西日本FHは10%を割っている。(2)九州地銀17行の純資産残高順位表および自己資本比率について
◆純資産残高1位は福岡銀行で、前期比+422億円の6,669億円(同+6.8%)。(※1億円未満を切り捨て)。
・2位は西日本シティ銀行。同+210億円の5,302億円(同+4.1%)。
・3位は鹿児島銀行。同+194億円の3,320億円(同+6.2%)。
・4位は肥後銀行。同+289億円の3,274億円(同+9.7%)。同じ九州FGの鹿児島銀行よりも増加額・増加率は上回っており、いずれ近い時期に3位になるものと予想される。
・5位は十八親和銀行。同▲173億円の2,772億円(同-5.9%)。マイナスは17行のなかで1行だけであるものの、親和銀行と十八銀行の合併処理にともなうものであり、合併後の同行の動きが注目される
・6位は大分銀行。同+100億円の1,986億円(同+5.4%)。
・7位は宮崎銀行。同+79億円の1,565億円(同+5.4%)。
・8位は佐賀銀行。同+78億円の1,225億円(同+6.8%)。
・9位は北九州銀行。同+69億円の1,068億円(同+7.0%)と1,000億円台。
・10位は熊本銀行。同+11億円の869億円(同+1.3%)と微増。
・11位は宮崎太陽銀行。同+32億円の478億円(同+7.4%)。
・12位は南日本銀行。同+12億円の422億円(同+3.1%)。
・13位は筑邦銀行。同+76億円の399億円(同+23.8%)と大幅増。前期(20年3月期)の有価証券評価差額金は▲29億4,600万円だったが、20年12月期は+22億2,300万円とプラスに転じたため、51億円増額となったことが主な要因。
・14位は豊和銀行。同+16億円の318億円(同+5.4%)。
・15位は福岡中央銀行。同+12億円の303億円(同+4.1%)。
・16位は西日本FH傘下の長崎銀行。同+2億円の152億円(同+1.5%)と微増。
・17位は佐賀共栄銀行。同+10億円の147億円(同+7.7%)。◆20年12月期は四半期決算のため自己資本比率を公表していない銀行が6行あるが、公表している11行は8%以上となっていることがわかる。
<まとめ>
純資産残高から見えるものは、戦前から存在していた地銀(第一地銀)と、戦後に設立された銀行(地銀・相互銀行)の歴史的な厚みの差であると考えられる。筑邦銀行は戦後に設立された地銀の1つで、1952年12月23日に久留米市に設立された。当時、繊維産業が隆盛を極めていたことによる。しかし蓄積が浅く、13位の位置にあり、第二地銀と同様に厳しい状況にあることがわかる。
1位の福岡銀行の純資産残高6,669億円に対して、17位の佐賀共栄銀行は147億円で、45分の1のボリュームしかない。筑邦銀行や佐賀共栄銀行だけに限らず、純資産が下位の単独地銀が生き残るためには、経営統合を選択するしか道がないのではないだろうか。
(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】
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