九州地銀の2021年3月期 第3四半期(12月期)決算を検証する (3)
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【表】を見ていただきたい。九州地銀17行(FG・FH含む)の20年12月期の預貸金残高順位表である。
~この表から見えるもの~
(1)金融グループの預貸金残高順位表について
<貸出金残高>
・1位はふくおかFG(3行)。前年比+8,504億円の16兆8,581億円(同+5.3%)。
・2位は西日本FH。同+9,939億円の8兆4,434億円(同+13.3%)。増加額・増加率とも大幅増となっている。
・3位は九州FG。同+4,009億円の7兆5,604億円(同+9.6%)。<総預金残高>
・1位はふくおかFG。前年比+1兆8,025億円の19兆4,306億円(同+10.2%)。
・2位は西日本FH。同+7,096億円の9兆6,042億円(同+8.0%)。
・3位は九州FG。同+7,946億円の9兆6,040億円(同+9.0%)。西日本FHに▲2億円と迫っており、目が離せなくなっている。20年12月期の預貸率を見ると、西日本FHは87.9%。ふくおかFGは86.8%、九州FGは78.7%と上位よりも10%低く、収益力強化のためには預貸率改善が課題といえそうだ。
(2)九州地銀17行の預貸金残高順位表について
<貸出金残高について>
・1位は福岡銀行。前年比+3,896億円の11兆332億円(同+3.7%)。
・2位は西日本シティ銀行。同+9,804億円の8兆2,184億円(同+13.5%)と大幅な増加。
・3位は十八親和銀行。同+2,084億円の4兆1,613億円(同+5.3%)。20年10月に合併しており、前年の計数は単純合算。
・4位は肥後銀行。同+1,455億円の3兆8,201億円(同+4.0%)。今までは3位だったが、十八親和銀行の発足で順位を下げている。
・5位は鹿児島銀行。同+2,530億円の3兆8,041億円(同+7.1%)。肥後銀行よりも勢いが見られる。
・6位は宮崎銀行。同+1,152億円の2兆1,471億円(同+5.7%)。
・7位は佐賀銀行。同+2,218億円の1兆9,767億円(同+12.6%)と大幅な増加。
・8位は大分銀行。同+499億円の1兆8,749億円(同+2.7%)と微増。
・9位は熊本銀行。同+2,399億円の1兆8,111億円(同+15.3%)と大幅な増加。
・10位は北九州銀行。同+676億円の1兆2,416億円(同+5.8%)。伸びは鈍化傾向にある。
・11位は南日本銀行。同+212億円の5,909億円(同+3.7%)。同行から1兆円以下の銀行。
・12位は筑邦銀行。同+396億円の5,365億円(同+8.0%)。貸出金増強の動きが見える。
・13位は宮崎太陽銀行。同+224億円の5,178億円(同+4.5%)。
・14位は福岡中央銀行。同+574億円の4,283億円(同+15.5%)と大幅な増加。
・15位は豊和銀行。同+167億円の4,144億円(同+4.2%)。
・16位は長崎銀行。同+133億円の2,623億円(同+5.3%)。
・17位は佐賀共栄銀行。同+133億円の1,975億円(同+7.2%)。<預金残高について>
・1位は福岡銀行。前年比+1兆3,165億円の12兆4,898億円(同+11.8%)。
・2位は西日本シティ銀行。同+6,989億円の9兆3,878億円(同+8.0%)。
・3位は十八親和銀行。同+3,755億円の5兆4,399億円(同+7.4%)。前年計数は単純合算。
・4位は肥後銀行。同+3,586億円の5兆691億円(同+7.6%)。
・5位は鹿児島銀行。同+4,360億円の4兆5,506億円(同+10.6%)。
・6位は大分銀行。同+2,539億円の3兆2,833億円(同+8.4%)。貸出金は8位。
・7位は宮崎銀行。同+2,344億円の2兆7,636億円(同+9.3%)。貸出金は6位。
・8位は佐賀銀行。同+2,920億円の2兆6,374億円(同+12.4%)。貸出金は7位。
・9位は熊本銀行。同+1,223億円の1兆5,876億円(同+8.3%)。
・10位は北九州銀行。同+1,064億円の1兆2,139億円(同+9.6%)。
・11位は筑邦銀行。同+790億円の7,949億円(同+11.0%)。貸出金は12位。同行から預金残高は1兆円以下となっている。
・12位は南日本銀行。同+305億円の7,777億円(同+4.1%)。貸出金は11位。
・13位は宮崎太陽銀行。同+584億円の7,175億円(同+8.9%)。
・14位は豊和銀行。同+341億円の5,730億円(同+6.3%)。
・14位は福岡中央銀行。同+700億円の5,546億円(同+14.4%)と大幅な増加。
・16位は長崎銀行。同+95億円の2,535億円(同+3.9%)と微増。
・17位は佐賀共栄銀行。同+132億円の2,524億円(同+5.5%)。<預貸率について>
・九州地銀17行の20年12月期の平均預貸率は82.2%となっている。この平均預貸率を超えている銀行は6行で、下回っている銀行は11行となっている。
・100%を超えるオーバーローンの銀行は3行。熊本銀行114.1%、長崎銀行103.5%、北九州銀行102.3%。いずれも金融グループの傘下銀行であり、問題はないようだ。
・一方、預貸率が70%を割っている銀行は2行。筑邦銀行67.5%、大分銀行57.1%。両行とも預貸率の改善が大きな課題となっているようだ。<まとめ>
九州地銀17行の貸出金残高は43兆362億円。そのうち、ふくおかFG傘下3行の合計は17兆56億円で、シェアは39.5%。西日本FH傘下2行の合計は8兆4,807億円で、シェアは19.7%。九州FG傘下2行の合計は7兆6,242億円で、シェアは17.7%。3金融グループの合計は33兆1,105億円で、シェア合計は76.9%となっている。
また、九州地銀17行の総預金残高は52兆3,466億円。そのうち、ふくおかFG傘下3行の合計は19兆5,173億円で、シェアは37.3%。西日本FH傘下2行の合計は9兆6,413億円で、シェアは18.4%。九州FG傘下2行の合計は9兆6,197億円で、シェアは18.4%。3金融グループの合計は38兆7,783億円で、シェア合計は74.1%となっている。
3金融グループの貸出金のシェアは76.9%。総預金のシェアは74.1%を占めている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響は九州経済を直撃しており、今後九州地銀の金融再編はこの金融グループを中心に進展することになりそうだ。
(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】
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