コロナ禍で台湾が世界への協力をアピール!~Taiwan Can Help, Taiwan is helping.(3)
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新型コロナウイルス感染症対策で、台湾は世界でトップクラスの優等生である。マスク着用やソーシャルディスタンスなどの衛生管理は徹底されているが、テレワーク、オンライン授業もほぼ行われておらず、社会はコロナ前とほとんど変わらずに動いており、経済も好調である。この成功を受けて蔡英文総統の支持率は20%近く上昇した。
台湾在住歴13年の山本幸男 (一財)台湾協会 台湾連絡事務所長(元 台北市日本工商会・台湾日本人会 総幹事)に台湾の今を聞いた。(一財)台湾協会 台湾連絡事務所長 山本幸男氏
コロナ禍で日本人管理者が帰国して戻らないことも
――日本企業の多くは、リモートワークや在宅勤務が普通になっています。また、コロナ後も、元に戻るのではなく、ある程度は定着するとも言われております。台湾ではどうですか。
山本 台湾ではテレワークはほとんど行われていません。しかし、台湾でも、日系を含めて大手の企業の多くが、取引先の来社はお断りをされているようです。打ち合わせ、面談、会議は、基本的に、Zoomなどオンラインで行われています。また、通常であれば、夏から秋に大型の商談会が開催されますが、昨年は日本からの参加者がなく、台湾の代理店だけが参加して行われました。日本との商談は、Zoomなどを通してオンラインでも可能ですが、リアルな商談と同じように十分なコミュニケーションがとれているかは懸念が残り、多少のもどかしさを感じています。
また、コロナの影響で、日系企業では、日本人管理者が日本に帰ったまま、台湾に戻ることができず、台湾人スタッフだけで頑張っているケースもあり、物産展を開催しても日本人スタッフはやむなくオンラインで日本から参加することが普通になっています。また、企業で台湾に事務所を開設しても、日本人董事長の赴任が遅れているケースや、台湾人社員だけで頑張っているケースもあります。
「2021台北ロータリーの国際大会」もバーチャル開催に
――日本では、セミナー、フォーラム、展示会なども、ほとんどオンライン開催、もしくはハイブリッド形式(来場とオンライン併用)の開催になっています。台湾はどうですか。
山本 蔡英文総統も出席された「台北市日本工商会」や「日本人会」などの公的な新年会は実名制であり、マスク着用、着席形式、人数制限など、とても厳しい規制のもとで開催されました。しかし、多くの新年会は、3密は避けていますが、ほぼ例年通りに行われました。2次会も以前に比べてとても減っているようですが、ゼロではありません。
1月中旬には、桃園病院で8カ月ぶりの域内感染者が出て、神経を尖らしていましたが、今は収束しています。春節前に人が移動する繁忙期と重なったため、管理体制を厳重にする必要がありました。その影響もあったのか、2月春節に台湾北部の新竹で行われる予定だった「ランタンフェスティバル」は中止になりました。6月に開催予定であったロータリークラブの「2021台北ロータリーの国際大会」もバーチャルでの開催となりました。4万人規模の大きな大会だったので、ホテルやレストラン関係者などの落胆は大きかったのではないかと思います。
一般的には、外国人観光客を想定した日系飲食業などは、とても厳しい状況です。一方で、台湾はアジアのなかでは相対的に安全な市場と見込んで、この時期にあえて台湾に進出し、新規に開店するお店も多いと感じます。最近のもっとも大きな話題は「ドンドンドンキ台湾1号店」が西門町に開店したことです。たくさんの日本商品がそろっているので、今はとても賑わっています。
(つづく)
【金木 亮憲】
<プロフィール>
山本 幸男氏(やまもと・ゆきお)
(一財)台湾協会 台湾連絡事務所長。台日産業技術合作促進会 諮詢委員、台湾大学日本研究中心 外部支援コーディネーター、台日文化経済協会理事などを兼任。
1948年、大阪生まれ。71年、大阪大学経済学部卒業後、三井物産(株)に入社。主に本店非鉄金属部門で中国ビジネスを担当後、79年に会社派遣で北京語言学院に留学。留学後、中国(広州、北京)に着任3回、通算15年間、中国滞在。2008年に台北市日本工商会、台湾日本人会の初の専属総幹事に就任。元(公財)日本漢字能力検定協会 ビジネス日本語能力テスト台湾アドバイザー。関連キーワード
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