ロイヤル、福岡を去る 見て見ぬふりするメインバンクたち
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福岡でスタートし、全国進出をはたしたロイヤルホールディングス(株)。潤沢な資金力を誇った同社も、コロナ禍の猛威を前に没落。商社・双日(株)の傘下に入り、発祥の地である福岡を離れることになった。
70年以降 文系大卒の憧れの就職先
ロイヤルホールディングス(株)(以下、ロイヤル)創業者の故・江頭匡一氏(1923年3月~2005年4月)は、1946年に米軍春日原キャンプで売店指定権を得た。これを機に事業を開始し、フランス料理店「ロイヤル中洲本店(現・花の木)」をオープン。その後、ファミリーレストランを展開し、レストランチェーンの先駆けとなった。同社は全国進出を成し遂げた数少ない成功者の仲間入りをはたした。
70年の大阪万博。この歴史的なイベントに、ロイヤルはセントラルキッチン方式を掲げて参戦。その効果は大きく、一挙にブランド力が向上、文系大卒の憧れの就職先となった。72年に同社へ入社した知人がこう振り返る。
「本当に厳しく鍛えられた。すばらしい人材を輩出し、コンサルで成功した連中も多い。人材を大量に確保できたからこそ、ロイヤルの大躍進が可能だった」。
全国進出を成し遂げたものの、創業者の江頭氏は後継者に悩んだ。一時、福岡地所(株)の榎本一彦氏に託したこともある。同氏から耳にしたことを鮮明に覚えている。
「当社と比べてロイヤルには現金が腐るほどある。羨ましい」。
十分な資金力があったからこそ、生え抜きの社員によってロイヤルは快進撃を続けることができた。ところが、コロナ禍でドル箱の機内食事業が壊滅状態に陥った。さらに、インバウンドに頼ったホテル事業は拡大策をとったことが致命傷となった。
月に100億円のキャッシュが消滅
昨年末、筆者は仲間と忘年会を開いた。参加したあるバンカー幹部は「ロイヤルさんが大変な状態になっている。地元のメインバンクで共同支援体制を築くことが課題だ」と悲壮感を漂わせていた。月に100億円ほどのキャッシュが流出しているという。
年が明けて事態は急転直下。ロイヤルは双日の傘下に入り、発祥の地を離れることになった。福岡のある上場会社の社長は怒りを隠せない様子で、次のように吐き捨てた。
「こういうときこそ、地元のメインバンクが支援のスキームを練り上げるべきだった。ただ傍観して、手をこまねいていたとは情けない。このような状況ならば、(当社も)本社を東京に移そうかな」。
今回のロイヤルへの支援で、地元メインバンクがまったく関与できなかったのは恥ずべきことである。
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