2024年12月27日( 金 )

【民間初】新型コロナの「抗体値」計測が福岡でもスタート 記者が体験

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抗体検査で「過去の感染」の有無をチェック

大阪・天六店
大阪・天六店

 新型コロナウイルスに対する「抗体」検査と「抗原」検査を短時間で実施する施設「新型コロナ抗体検査センター」が全国で5店舗オープンした。東京の2店舗(新宿、池袋)と大阪の2店舗(梅田、天六)に加え千葉県の成田店が稼働中で、センターを運営する(株)アナライザーは全国に拠点を広げる計画だ。福岡では移動式の「アクティブ検査」事業所の準備が進んでいる。

 新型コロナウイルスに感染しているか(感染していたか)を判定する方法には、大きく分けてPCR検査と抗原検査、そして抗体検査の3つの手法がある。このうちメディアで取り上げられて良く知られるようになったPCR検査は、唾液などから遺伝子を検出してウイルスの有無を調べるもの。精度も高く、医療機関による診断に用いられ、保険適応されているものについては信頼度も高い。抗原検査はウイルスに感染した細胞が出すウイルス抗原を検知する。両方とも鼻腔奥から唾液などを取り出して調べ、抗原検査では30分以内に判定結果が出るが、PCR検査の場合は1日~3日ほどかかる。

 PCR検査と抗原検査が「いま感染しているか」を検査するのに対し、抗体検査は「過去に感染したことがあるか」を調べるときに使われる。新型コロナウイルスに感染した際に形成されるタンパク質が体内にあるか、「感染の痕跡」を調べるもので、血液検査を用いて判定までおよそ30分。感染初期(9日目~12日目ごろまで)の精度は高くないものの、無症状の感染者を発見する効果などが期待されている。

検査結果がわかるまで約15分

検査キット
検査キット

 アナライザーが提供する抗体検査は、それぞれパック詰めにされた検査キットを用いて行う。まず、(1)極細針を用いて指先などから血液を滲ませる、(2)専用スポイトで血液を抽出して薬剤と混合、(3)混合した液体をプレートに載せてしばらく時間をおき、(4)プレートを測定器に挿入するとほぼ瞬時に結果が印刷される、という流れ。すべての行程が約15分で終了するという。

世界的に信頼度の高い、中国製判定機は、CEマーク(EU加盟国基準適合マーク)を取得している
世界的に信頼度の高い、中国製判定機は、
CEマーク(EU加盟国基準適合マーク)を取得している

 使用する測定器は新健康成社(中国四川省)が開発したもので、EU加盟国基準をクリアした証であるCEマークを取得している。昨年からドイツやイタリアの医療機関で使用されており、信頼性は高い。

 検査では、IgG抗体とIgM抗体の2抗体の値を確認することができる。IgM抗体は「感染初期に現れて早期に消失」し、IgG抗体は「感染して時間を置いて現れ、長期間残る」という異なる特徴があるため、仮に感染の痕跡が確認された場合でも両抗体の数値を合わせて判断することで、「いつ感染したのか」や「いま感染を広げるリスクがあるのか」などを推定することができるという。

抗体検査を記者が体験~手軽さも普及の武器に

無痛針で指先に針を刺す
無痛針で指先に針を刺す

 福岡では、同内容の検査キットを使用する「抗体管理センター福岡」(仮称)が5月にオープンする予定だ。運営事業者によると最初は店舗などの拠点を構えず、要請に応じて企業などに出向いて検査する「アクティブ検査」方式を採用するという。

指先に滲んだ血液を吸い出す作業
指先に滲んだ血液を吸い出す作業

 今回、データ・マックスでは4人の記者がアクティブ検査を体験した。

薬剤と混ぜた血液をプレートに垂らす
薬剤と混ぜた血液をプレートに垂らす

 検査で最もハードルが高いと感じたのは「自分の指に針を刺して血液を採取する」という入口の部分だった。針に対する恐怖心があったが、採血で使用される針は「無痛針」とも称される極めて細い針で、実際に痛みはまったく感じなかった。

 指先から米粒大に滲む血液を専用スポイトで採取して薬剤と混ぜ、測定用プレートに垂らすと事前準備は終わり。慣れれば1~2分でできる簡単さだ。約8分待ってプレートを測定器に挿入、測定自体は一瞬で終わり、即座に検査結果がプリントアウトされた。血液採取から測定結果の印字まで、長く見積もっても15分程度。プリントにはIgG抗体とIgM抗体の2抗体の数値が印字されており、その値で被験者の「抗体」度合いを知ることができる。基準となる値は「1.3」で、それぞれ高いか低いかで感染歴の有無などを推定する。

 抗体管理センター福岡の担当者によると、特にIgG抗体の数値をみることで、ワクチンの効果や免疫が持続しているかがわかるという。たとえば企業で集団測定することで、抗体を持っている者を対人営業に回すなど、配置転換の参考にすることもできるという。

 「抗体検査は手軽さが特長です。定期的に抗体検査すれば感染をやみくもに恐れて消極的にならずにすみ、行動範囲を広げるかどうかなどの指針を持つことができます」(抗体管理センター福岡)

 料金は抗体検査、抗原検査ともに3,800円(税込)、抗体抗原セット検査は6,800円(税込)。
 問い合わせは同センター担当:中里(電話:090-3416-0256)まで。

【データ・マックス編集部】

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