2024年11月22日( 金 )

非科学的感染防止策を修正せよ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「政府が目指すべきことは一刻も早い感染の収束だ」と訴えた4月12日付の記事を紹介する。

海外男子メジャーのマスターズゴルフで松山英樹選手が優勝した。
日本人男子として初めてのメジャー制覇である。
コロナ禍でスポーツ界も甚大な影響を受けているが快挙に対する祝福が広がっている。

コロナ騒動が1年以上も続き、人々の間に疲労感が広がっている。
しかし、世界では太古の昔からさまざまなことが生じてきた。

小惑星が地球に衝突して地球の気候が激変したことなど、いま目の前に広がる変化とは比べようのない激変が地球を襲ったこともある。
変化する環境のなかで生きてゆくしかない。

地球上の最強生物として君臨していた恐竜は惑星衝突による大火災や寒冷化によって絶滅したと見られている。
惑星衝突による地球環境の激変に比べれば、現在のコロナ騒動など、些細な出来事ともいえる。

コロナ感染者数と死者数から算出される致死率は約2%。
新型インフルエンザの0.5%より高いがエボラ出血熱などの感染症と比べれば、はるかに低い。

高齢でない健常者がコロナ感染しても重篤化するリスクは低い。
とりわけ、東アジアではそもそも感染する人の比率が欧米と比べて著しく低い。
過剰に恐怖を煽り立てることは適正でない。

ワクチン接種が推進されているが、ワクチンの副作用が未知であり、リスクを払拭できないワクチンの接種を推進するのは無責任だ。

感染すると重篤化しやすい人はワクチンを接種するメリットを有する。
ワクチン接種のメリットがリスクを上回る人もいる。

しかし、高齢でない健常者の場合は、ワクチン接種のメリットがリスクを下回ると考えられる。
この人たちはワクチンを接種しないことが賢明であると思われる。

ただし、最終的に判断するのはそれぞれの個人だ。
それぞれの個人が、自分の考え方によって決定すべきだ。
政府がこの判断に対して介入することは適切でない。

政府の責務は正確な情報を提供することだ。
政府の都合でワクチン接種を誘導すべきでない。
多数の国民がワクチンを接種することは権力者にとっての利益になっても、個々の国民の利益になるとは言い切れない。

ワクチンに重大な副反応がともなうことも確認されている。
国民の命を犠牲にして権力者が利益を得ることは正しい姿でない。

話が横道にそれたが、私たちは現実を悲観的に見過ぎないように注意すべきだ。
コロナの実態を正確に捕捉することが重要。
政府はコロナの詳細な事実を広く周知させるべきだ。

高齢でない健常者が重篤化するケースについての情報を細かく公開すべきだ。
他方、どのようなケースで重篤化する場合が多いかも知らせる必要がある。
現実を正確に捉えてこそ、適正な対応が可能になる。

ワクチンよりも重要性が高いのが治療薬だ。
ウイルスの変異スピードは速く、ワクチンの有効性が長期間確保される保証がない。
治療薬の開発が進展しているはずだが、ワクチン販売の妨げになるために、その認可を先送りしている疑いもある。

治療薬が開発されれば、その服用は感染者に限定されるから医療費の大幅な節約にもなる。
ワクチン利権を得ようとする者は治療薬開発を阻止するインセンティブを持つ。

コロナ感染は飛沫によるケースが圧倒的に多いと見られている。
このことを踏まえれば、マスクをせずに大きな声を出して会話をすることがリスクの高い行為ということになる。
飲食の方法を工夫しないと、このリスクを回避できない。

これも、考えてみれば飲食そのものが害悪ということではない。
そもそも、人間は飲食しなければ死んでしまう。
飲食は必要不可欠のもの。
その飲食の方法を工夫すればよいのである。

現実に素直に対応して明るく暮らす。
これがコロナ禍の適正な対応であると思われる。

飲食店の営業を時間で区切るというのも腑に落ちない。
ウイルスが時間帯によって活動を変えているわけではない。
昼間と夜とでウイルスの活動に変化が生じるわけではない。

問題なのはマスクをせずに会話をともなう飲食を行うこと。
時間は関係ない。

昼間の時間帯でも大きな声で会話しながら飲食すれば感染リスクは高まる。
逆に夜の時間帯でも、1人で声を発せずに飲食する限りリスクは低い。

飲食店の機能には2つある。
1つは飲食を提供すること。
いま1つは会食の場を提供すること。

居酒屋で多人数の飲食を行うことのリスクは高い。
しかし、個食限定、黙食限定の方式で飲食を提供する飲食店は、深夜まで営業しても感染を広げるリスクは低い。

飲食業全体を営業時間で区切って規制をかけることの合理性が乏しい。

飲食店を利用する消費者の側も、利用に際しての目的が2つにわかれる。
会話を目的として複数で飲食する場合と、飲食そのものを目的として個食で飲食する場合ははっきりと区分される。
後者の飲食を規制する必然性が極めて乏しい。

飲食店のなかには個食、黙食の「お1人さま」をメインの顧客にしている場合もある。
このような業態に対して営業規制をかける必要性は乏しい。
私たちは変化する環境に適応して、環境にふさわしい行動様式を自ら選ぶべきだ。
それが賢明な生き方である。

日本におけるコロナの実態を踏まえる限り、恐怖心を煽る必要性は乏しい。
だからと言って、感染拡大を促進する行動を奨励することは間違いだ。

菅内閣は宿泊、観光業者のためだと言って、感染が収束していないのに、旅行や会食に補助金を出して推進した。
その結果として感染拡大が爆発して緊急事態宣言発出に追い込まれた。

感染爆発を引き起こしてしまえば、各種自粛措置を講じなければならない範囲と規模が拡大して経済活動にはトータルでマイナスになる。
政府が目指すべきことは一刻も早い感染の収束だ。

感染を収束させた段階で経済活動を鼓舞する施策を打つのは妥当だが、感染を収束させずに感染拡大を推進する施策を打つのは愚の骨頂だ。
非科学的、反知性主義の政策が強行されていることが日本国民にとっての悲劇だ。

コロナ収束に成功している国では、「検査と隔離」を基礎に置いている。
徹底した検査で感染者を特定する。
この感染者が感染を拡大させないように行動を抑止する。
これを徹底的に追求することで感染収束を実現させている。

安倍内閣、菅内閣は検査の徹底を徹底的に忌避してきた。
その結果、感染者が野放しにされてきた。

結果として、東アジア最悪のコロナ被害を発生させてしまった。
東アジアで最悪のコロナ被害が広がった現実を否定することはできない。
政治家は結果に対して責任を負うべきもの。

他方、コロナに対する十分な情報が提供されていない。
どのような属性を持つ人に大きなリスクがあるのか。
コロナリスクが限定される属性とは何か。
これらの基本的情報の提供が決定的に不足している。

政府が対応すべきはコロナ禍によって困難に見舞われている国民の支援だ。
利益配分が著しくいびつなGoTo事業は不適正な施策である。
73兆円もの追加財政支出を計上しながら、コロナ禍で苦しむ1人ひとりの国民にしっかりと手を差し伸べていないことが問題だ。

さらに、コロナで重篤化するリスクの高い人の保護、公的施設におけるコロナ病床の確保。
これらの基本的な政府責務が果たされていないことが問題だ。
これらを是正するには政府そのものを刷新することが必要だと判断される。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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