2024年11月24日( 日 )

インドネシア・パーム油生産農園視察(ボルネオ直行ルポ)(1)インドネシア経済を支える基幹産業

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現地でパーム油の広範囲な活用について検討

 パーム油がインドネシアの基幹産業であると現地を訪問して聞き、非常に驚いた。パーム油が食用や化粧品などに使用されることは知っていた。しかし、バイオマスの発電燃料に使用されていることについては初耳だった。

 パーム油の出荷量は、マレーシアとインドネシアが2大巨頭。最近ではインドネシアが断トツのトップをキープしている。パーム油を生産するトップクラスの企業は年商1兆円を超すともいわれる。今やインドネシアの経済を牽引する基幹産業となり、国策として重視されるまでになった。生産農園はカリマンタン島(ボルネオ島)、スマトラ島などに集中している。

カリマンタン(ボルネオ)島ヤシの森(機上にて撮影)
カリマンタン(ボルネオ)島ヤシの森(機上にて撮影)

バイオマス発電バブル

 バイオマス発電にもパーム油が認められるようになった。経済産業省が決定した電力買取価格は利回りが20%を超えるとして、投資家たちの画策が始まった。ところが、パーム油の安定供給がうまく行かずに事業が頓挫した。安定供給できる業者が切望されているわけである。

 太陽光発電の買取価格を思い出してほしい。経済産業省は買取価格として1kgあたり42円を打ち出した。そこから一挙にバブル化し、批判が相次いだ。行政は批判を受け止めて買取価格を下げた。今後は一瞬にしてバブルがはじけたという経緯がある。

 一転して、パーム油によって天下を握れるチャンスが到来。パーム油の人気は沸騰している。確実に需要が拡大していることから、価格は高騰中。国際価格はトンあたり1000ドルを超える勢いだ。国内取引は750ドル前後が限度とみられる。

 あるパーム油販売会議に縁があって参加した。「高い価格で売れる海外市場に売ればよいのではないか」と素人の筆者が口を挟んだ。すると、プロたちから「日本では20年間の買取約束期間があります。この千載一遇のチャンスをつかまないと馬鹿でしょう」と嘲笑された。

太陽光パネル 説明を受けて赤面の思いをした。このプロの説明に真剣に耳を傾けた。経済産業省は太陽光発電と同様に、バイオマス発電にも利回りの高い買取価格を提示した。パーム油発電がもっとも条件が良かった。

 このため、投資欲の旺盛な人たちがパーム油発電に手に染め出した。ところが、どうしたことであろう。太陽光発電の場合と異なり、日本ではパーム油を入荷することが困難になってきた。供給不足でバブルがはじけたのである。だが、事業権利を得た業者は20年間の事業権利を保有しているのだ。

 今回の訪問で、世界でバイオマス発電の救世主となったパーム油の貴重さを認識できた。奇遇にもパーム油生産農園のオーナーと知己を得て、現場を見る必要性を痛感した。現場とは、カリマンタン島(ボルネオ島)である。

 視察する予定の農園オーナーは、日本人の薩摩(仮名)さん。昨年末に権利を取得したが、現地で日本人がオーナーとなるのは極めて珍しいという。

ジャカルタの街並み
ジャカルタの街並み

(つづく)

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