2024年12月24日( 火 )

インドネシア・パーム油生産農園視察(ボルネオ直行ルポ)(7)一級商社・伊藤忠商事が本格的に稼働

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 国内の関連事情が大きく動いていることにも触れておく。それは一級商社の動きが活発になってきたというものだ。

バイデン・菅会談でCO2削減が本格化

 バイデン・アメリカ大統領と菅首相の会談についての解説が諸説芬々と流れている。そのなかでもっともブレのない確定事項は、「2050年までにCO2 発生の削減を50%削減する」ということである。トランプ政権のエネルギー政策をひっくり返す政策に踏み切ったという説もあるが、実際には元に戻っただけの話である。CO2削減は、中国と唯一歩調を合わせられる分野だ。

 中国と連携できるとは言っても、技術覇権をめぐり両国は激突する様相を呈している。たとえば電気自動車の生産システムに関しても技術戦争が展開されている。さらにCO2削減政策は従来の電力使用が根幹から問われるようになる。電力会社にはCO2 発生に対する責任への負担が義務付けられ、それゆえにいわば罪滅ぼしのための出費も義務付けられる。

 そう考えると、既得権をもつ電力会社を庇護することに終始する菅政権の政策は従来のものと変わるところがなく、バイデンとの公約を実行に移すのは難しいだろう。今後、日本は再生エネルギー、自然エネルギー、バイオマス電力などの分野に注力しなければならない。その点、一級の商社はやはり気を見るに敏である。伊藤忠商事が動いた。宮崎県日向市の工場団地にバイオマス発電所を稼働することを発表したのだ。以下に紹介する。

 この日向市の細島工業団地には1960年に新産業指定工場に指定されて以来の長い歴史がある。当初は製糖工場の建設が計画されていたが、挫折する。その結果、隣の延岡市を拠点にしていた旭化成工業が生産拠点として活用するようになった。それに加えて、森林資材が豊富という地域の特性を生かして、製材業が発達している。そして、その製材後の残りクズを生かしたバイオマス発電の先行地域としての実績を有する。

細島工業団地(写真提供:九州地方整備局 宮崎港湾・空港整備事務所)
細島工業団地(写真提供:九州地方整備局 宮崎港湾・空港整備事務所)

パーム油発電のチャンス到来

 1月19日にジェトロが発表したレポート(木質バイオマス燃料、ヤシ殻(PKS)とウッドペレットに注目(インドネシア))を参照してほしい。日系大手商社も需要の伸び代を期待している。木くず燃料は火力が弱いという難点があり、その弱点をカバーできるものとしてパームオイルを絞った後に残るヤシの殻(PKS)の活用が注目されている。PKSは火力が強い。

原料となるヤシ殻(PKS)
原料となるヤシ殻(PKS)
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