【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(1)~はじめに
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
5月から全61回にわたり連載した「2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想」を再度掲載する。
中国・武漢から広がった新型コロナウイルス(COVID-19)感染症は、あっという間に全世界に広がり、2020年はまさにパンデミックの年となった。
以前、米国大手信用調査会社のD&B(ダンアンドブラッドストリート)社が格付けする「5A-1」という企業評価について、「地球が半分に割れない限り潰れない会社である」という表現を聞いたことがある。しかし、この新型コロナは、世界中の5A-1企業の経営をも悪化させた。まさに、「地球が半分に割れてしまったような状態」をつくり出してしまったのだ。
今回の新型コロナ感染拡大によって私が感じたのは、これまで築き上げてきた高度な技術をもつ人間社会というものは、実はこんなにも脆く、弱かったという事実だ。
そして、現在はコロナ禍の陰で忘れられている感もあるが、今日明日にでも日本を襲う恐れがあるのは、首都直下型大地震・南海トラフ巨大地震などの大災害である。
そうした状況を鑑みて、最近話題の「スマートシティ」「スーパーシティ」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「国際金融都市」といった議論も欠かせないが、福岡にとって、九州にとって本当に何が必要になるのか――。場あたり的ではなく、じっくりと夢のある福岡の将来構想図を描く必要があると考えると、首都機能の一部誘致や交通インフラの再整備などが早急に必要になるのではないかと思われる。そこで、筆者が過去に議論した「新福岡空港問題」を振り返るとともに、福岡の未来交通ネットワーク図(グランドデザイン)構想を考えてみる。
本構想は、資金の調達方法や具体的な建設技術の検討など、把握できていない項目がたくさんあるため、見る人によっては「夢物語」と笑われてしまうこともあるだろう。しかし、誰かが“夢”をもって将来的な福岡の未来図(グランドデザイン)を描き、公表することは非常に有意義だと思い、あえて一石を投じたいと考えてまとめたものである。
世界に夢と希望を与え続けている“ディズニーの世界”を実現したウォルト・ディズニー氏の名言――「夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる。いつだって忘れないでほしい。すべて1匹のねずみから始まったということを!」は、心の支えである。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年11月、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などに配属された後、99年1月には九州支店の営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部・営業部長などを経て、2020年9月からは九州支店建築営業部・営業部長を務める。社外でも99年9月からC&C21研究会・事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動FEA・理事や(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会・幹事、(一社)防災教育指導協会・顧問など、数々の要職を務めている。関連記事
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