【飲食事業者の独立心、自尊心を育てよ!(7)】味で人を呼べる“本物”に~「博多 太兵衛鮨」
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福岡市一の繁華街・中洲から、博多川をわたってすぐの博多区古門戸町の昭和通り沿いに店を構える、「博多 太兵衛鮨(はかた・たへえずし)」。黒田節で知られる槍術に優れた剛力の勇将「母里太兵衛」にちなんだ屋号の同店は、1950年に初代店主である母里トミ氏が、寿司を中心とした飲食店「都食堂」を中央区赤坂で開いたのが始まり。65年に現屋号に改めるとともに現在地に移転し、改めて寿司店として開業した。
同店では、玄界灘で獲れた新鮮な魚介を使用した店主の技が冴える握りをはじめ、お造りや煮物、焼物といった一品料理にも趣向を凝らしており、自家製カラスミやあん肝西京漬けなどの酒の肴も自慢の逸品だ。1階のカウンター10席のほか、2階にはテーブル席も用意しており、店主の仕事ぶりを特等席で鑑賞しながらゆっくりと寿司を味わう粋な楽しみ方のほか、大事な接待での利用や出張、観光などのさまざまなシーンで利用することが可能。これまで半世紀以上にわたって、舌の肥えた地元・博多人たちを唸らせてきた、博多を代表する名店の1つだ。
同店店主・上杉仁氏は、コロナ禍の影響について「コロナ前に比べると、仕入れ量は半分くらいにまでなり、夜は何とかかんとかやれていますが、お昼のランチ営業は厳しいですね」と話す。同店の立地する場所は、オフィス街にも近い。上杉氏は、ランチ営業での来客数の減少について、コロナ禍でのリモートワークなどにより、そもそもの出社人数が減っていることが大きな要因ではないかと推測する。
こうした事態に対処すべく、同店でもテイクアウトでの寿司販売を開始。すると、テイクアウトでも本格的な寿司が食べられるとあって、わざわざ市外から注文して買いにきてくれるお客がいるなど、評判は上々という。
上杉氏は、「コロナ禍ではありますが、それでも当店の寿司を食べたいと、お店にきてくれたり、テイクアウトで買ってくれたりするお客さまが多くいらっしゃいます。当店を心配してくれた昔からの知り合いが、わざわざ連絡して足を運んでくれるなど、改めて人と人とのつながりや、人の温かさなどを感じました。こうした事態になったときに、『あのお店を助けよう』『あの人(店主)を助けよう』と多くの方に思っていただけていることは、本当にありがたく思っています」――と、改めて同店を支えてくれるお客=ファンへの感謝の気持ちを述べる。そして飲食店にとって、最終的にモノをいうのは“味”だという持論をもつ上杉氏。
「飲食店は、『やっぱり本物は違うね』といわれるような“味で人を呼べる”お店を目指していかなければならないと思っています。コロナ禍だからといって変に奇をてらうことなく、きちんと地に足を付けて、目の前のお客さま1人ひとりに向き合いながら、これからも日々の精進を重ねていきます」(上杉氏)。粋人に愛される落ち着いた上質な雰囲気を醸しつつも、気取らない親しみやすさも兼ね備えた博多の名店「博多 太兵衛鮨」は、万全の感染対策を行ったうえで、今日もお客さま1人ひとりに極上の寿司を提供し続けている。来店の際には、ぜひ予約を――。
【坂田 憲治】
<店舗情報>
博多 太兵衛鮨
所在地:福岡市博多区古門戸町2-6
TEL:092-271-1845
URL:https://www.taheesushi.com関連キーワード
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