2024年09月11日( 水 )

【金融×通信】ドコモと三菱UFJ デジタル金融サービス会社設立へ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

デジタル金融 イメージ 通信業界最大手のNTTドコモ(東京都千代田区)とメガバンク最大手の三菱UFJ銀行(同)は5月11日、デジタル金融サービスの提供に係る業務提携契約を結んだ。2021年度内に共同出資してデジタル金融サービス会社を設立、22年中にサービスを開始する。

 計画では、三菱UFJ銀行の口座をNTTドコモの通信料金の支払い口座に設定したユーザーに、通信料金の支払い額に応じてdポイントを付与。またNTTドコモが発行するクレジットカード「dカード」の支払い口座を三菱UFJ銀行に設定した場合も、支払額によってdポイントが発生する。

 NTTドコモは昨年秋、電子決済サービス「ドコモ口座」の支払いに設定されていた全国の銀行の口座から預金(口座残高)が引き出される事件が起こり、セキュリティー対策の“甘さ”を指摘された。

 その反省から三菱UFJ銀行の預金口座管理機能のノウハウに着目、新たなデジタル口座サービスを手がけることにした。まず、三菱UFJ銀行の銀行口座とQRコード決済サービス「d払い」や「ドコモ口座」へのチャージ(入金)連携に取り組み、21年度上期(4月~9月)をメドに実施する予定だ。

 さらに「dカード」や「d払い」の利用履歴や「dポイント」の増減明細と合わせて、三菱UFJ銀行口座の入出金明細がわかるようにして家計そのものを簡単に〈見える化〉する仕組みを構築するという。

 三菱UFJ銀行は08年6月、通信業界2位のKDDI(東京都区)とネット専業銀行「じぶん銀行」(現在のauじぶん銀行)を設立。メガバンクでは最も早く金融と通信技術を融合させるフィンテック分野を重視し、ブロックチェーン技術を基盤にした独自のデジタル通貨「MUFJコイン」を実用化する準備を進めている。

 同行とNTTドコモはドコモユーザー向けの金融サービスを共同開発するとしている。しかし一方で「auじぶん銀行」は、たとえば住宅ローンでauの通信回線やau提供の電気サービスのセット契約者に金利を引き下げている。こうした優遇措置を含め、通信回線契約数トップのNTTドコモと三菱UFJ銀行が、どんなサービスを打ち出すか。金融、通信双方の観点から注目される。

【南里 秀之】

関連記事