2024年12月19日( 木 )

九州地銀の2021年3月期決算を検証する (5)

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  昨年は宮崎銀行で頭取の交代があったが、今年は頭取の交代はなかった。

 【表1】を見ていただきたい。九州地銀の経営トップの経歴である。
~この表から見えるもの~
(1)    福岡県
◆福岡県には第一地銀の福岡銀行・西日本シティ銀行・筑邦銀行・北九州銀行の4行と第二地銀の福岡中央銀行の5行がある。
・福岡銀行のトップは柴戸隆成代表取締役会長兼頭取(67歳)。プロパー。
・西日本シティ銀行は2人。久保田勇夫代表取締役会長(78歳)。谷川浩道代表取締役頭取(67歳)。2人とも大蔵省(現・財務省)出身。
・北九州銀行は2人。藤田光博代表取締役会長(66歳)。嘉藤晃玉代表取締役(60歳)。2人とも営業譲渡前の山口銀行出身。
・筑邦銀行は佐藤清一郎代表取締役頭取(72歳)。日本勧業銀行出身。
・福岡中央銀行は古村至朗代表取締役頭取(66歳)。福岡銀行出身。
(2)    佐賀県
◆第一地銀の佐賀銀行と第二地銀の佐賀共栄銀行の2行。
・佐賀銀行のトップは2人。陣内芳博取締役会長(71歳)。坂井秀明代表取締役頭取(65歳)。2人ともプロパー。
・佐賀共栄銀行は二宮洋二代表取締役頭取(70歳)。大蔵省(現・財務省)出身。
(3)    長崎県
◆第一地銀でふくおかFG傘下の十八親和銀行と第二地銀で西日本FH傘下の長崎銀行の2行。
・十八親和銀行のトップは2人。吉澤俊介代表取締役会長(65歳)。出身は親和銀行。森拓二郎代表取締役頭取(66歳)。出身は十八銀行。継承銀行は親和銀行。
・長崎銀行は開地龍太郎代表取締役頭取(59歳)。西日本シティ銀行取締役からの就任。
(4)熊本県
◆第一地銀で九州FG傘下の肥後銀行と第二地銀でふくおかFG傘下の熊本銀行の2行。
・肥後銀行のトップは2人。甲斐隆博代表取締役会長(70歳)。プロパー。笠原慶久代表取締役頭取(59歳)。出身は肥後銀行と親密な富士銀行(現・みずほ銀行)。
・熊本銀行は野村俊巳代表取締役頭取(61歳)。プロパー。
(5)大分県
◆第一地銀の大分銀行と第二地銀の豊和銀行の2行。
・大分銀行のトップは2人。姫野昌治取締役会長(69歳)。後藤富一郎代表取締役頭取(66歳)。2人ともプロパー。
・豊和銀行は権藤淳代表取締役頭取(69歳)。三和銀行(現・三菱UFJ銀行)出身。
(6)宮崎県
◆第一地銀の宮崎銀行と第二地銀の宮崎太陽銀行の2行。
・宮崎銀行のトップは2人。平野亘也代表取締役会長(68歳)。杉田浩二代表取締役頭取(62歳)。2人ともプロパー。
・宮崎太陽銀行は林田洋二代表取締役頭取(71歳)。プロパー。
(7)鹿児島県
◆第一地銀で九州FG傘下の鹿児島銀行と第二地銀の南日本銀行の2行。
・鹿児島銀行のトップは2人。上村基宏代表取締役会長(68歳)。松山澄寛代表取締役頭取65歳)。2人ともプロパー。
・南日本銀行は齋藤眞一代表取締役頭取(68歳)。プロパー。

<地銀の金融再編の流れについて>
 ふくおかFGと十八銀行は2016年2月、経営統合に基本合意。しかし統合可否を判断する公正取引委員会が、長崎県内での貸出金シェアが高くなり、健全な競争環境が保てなくなると指摘して審査は長期化。両社の計1,000億円弱の貸出債権を他の金融機関に譲渡することを条件に18年8月、承認され、19年4月に経営統合。20年10月1日、傘下銀行の親和銀行と十八銀行が合併し、十八親和銀行が発足した。合併まで4年7カ月かかった。

<まとめ>
 今は、地銀の金融再編の状況が以前とは違ってきている。20年11月に施行された特例法は同一県内の地銀の再編を独禁法の適用除外とした。金融庁は合併・統合を補助金で後押しする制度をまとめ、日銀も再編行の当座預金に上乗せ金利をつける新制度を始めている。

 三重県内の三十三FG傘下の三重銀行と第三銀行が5月1日に合併し、三十三銀行が発足。1県1行となった。

 5月14日、青森県にある第一地銀同士の青森銀行とみちのく銀行が22年4月に経営統合して持株会社を設立し、24年4月の合併を目指すと発表。また福井県にある第一地銀の福井銀行も第二地銀の福邦銀行を子会社化し1県1行を目指すという。

 新型コロナウイルスの感染拡大が地銀経営に追い打ちをかけている。筑邦銀行など複数の地銀がSBIホールディングスと資本業務提携を結ぶなど、地域や業態を超えた連携が広がっている。

 今、まさに求められている九州地銀の金融再編は、別表に掲げたトップの決断次第といえるのではないだろうか。

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(つづく)

 【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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