2024年11月21日( 木 )

太陽光発電をエサに大金を巻き上げた詐欺会社テクノシスステムの手口~小泉元首相を広告塔に活用、小池都知事に飛び火(中)

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 「石川や浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽くまじ」。大盗賊、石川五右衛門の辞世の句だという。たしかに、盗人の種は尽きない。現代では、お金の借り手と貸し手をつなぐソーシャルレンディングが新しい犯罪の舞台になった。太陽光発電を掲げて、うその説明で投資家からお金を集めていた(株)テクノシステムの経営陣が逮捕された。その手口は、政治家を利用する詐欺師の常套手段だった。

小泉元首相とのツーショットの写真を商談に使え

 詐欺会社は、おしなべて政治銘柄である。テクノ社の生田尚之容疑者は政財界に顏が広い人物として知られている。メディアは多彩な政界ルートを報じた。朝日新聞出版社のオンラインメディア『AERA dot.』(5月25日付)は、交友の広さを示す写真があるという。2019年1月、生田容疑者が、横浜の中華街に高級しゃぶしゃぶ店「肉匠いく田」を開店した際、オープンの様子を参加者がSNSに投稿したものだ。

 「開店祝い花の立て札をチェックすると、小泉元首相、鳩山由紀夫元首相、麻生太郎副総理兼財務相、小池百合子東京都知事、原田義昭前環境相、遠山清彦元衆院議員ら大物議員の名前が見られた」

 なぜ、詐欺師は政治家との交友をひらけかすのか。テクノ社の元社員が語っている。

 「生田氏はよく会社で『小泉元首相とメシを食った』『小池知事と話をしてきた』などと嬉しそうに話をしていた。そして、太陽光発電システムなどの開発の商談には『必ず、小泉首相のツーショット写真を使え』と話していました。ダメなものでも、大物政治家の名前を出せば、ゴリ押しが効くんだと話していた」(AERA dot.)

 政治家とお近づきになるのは、官庁や金融機関への口利きを期待してのことではない。大物政治家との交友は、太陽光発電の商談に効き目があるからだ。小泉親子のネームバリューを最大限に利用。麻生財務相や原田元環境相らとの記念写真も、顧客を信用させる営業アイテムに使っていた。

小池百合子東京都知事に飛び火

詐欺師 イメージ 小泉純一郎元首相と小池百合子東京都知事。2人は生田容疑者の政界人脈として最も注目された。小池知事は、かつて小泉純一郎元首相の郵政解散で、脚光を浴びた小泉チルドレンの代表格。小池氏の度胸を買って、小泉首相は兵庫県から落下傘候補として東京に落とした。 小泉チルドレンの小池氏は、いまや都庁に“女帝”として君臨する大物政治家だ。

 東京・銀座1丁目に「ドンピエール」という老舗のフランス料理店がある。大物政財界人から昭和の映画界のスター、歌舞伎の重鎮たちが足繫く通った店として知られる。オーナーが他界したため、店は16年テクノ社に買収された。

 その店で、生田容疑者は小泉元首相や小池知事を接待した。特捜部が乗り出したのは当初、小泉元首相の反原発運動潰しと言われていたが、生田容疑者は小池知事との関係を吹聴していたうえ、小池知事関連の政治団体に献金していたことが明らかになり、事件は小池知事に飛び火した。

 生田容疑者は、小泉政権で環境相を務めた小池知事に接近。13年には小池知事の衆議院時代の資金管理団体「フォーラム・ユーリカ」に50万円、15年に小池知事が代表だった「自由民主党豊島総支部」に150万円も個人献金していた。

生田容疑者と小池百合子氏の元金庫番との奇怪な関係

 『週刊文春』(6月10日号)は「11億円詐欺逮捕社長は小池百合子のタニマチ」だったと報じた。生田容疑者と小池都知事の濃密な関係を築いたのには、1人のキーマンがいる。小池氏の“いとこ”を自称する水田昌宏氏だ。

 小池氏が環境大臣の際には大臣秘書官を、その後、公設秘書を務めた。水田氏の妻も16年の都知事選時、小池陣営の出納責任者をしていた。

 都内の「エコだハウス」と称する小池邸で同居していた“金庫番”の水田氏が、「最高顧問」のような立ち位置でテクノ社に出入り。元社員は「毎月、外注費として50万円ほど支払っていた。Tシャツに短パンのラフな格好で会社に現れ、子どもを連れてくるなどわが物顏で社内に出入り」していたと語る。

 小池知事の知事初当選直後には、水田氏は生田容疑者と不可解な不動産取引をしていた。土地転がしで資金を抜くという地上げではよく使われる手法だ。

 逮捕された生田容疑者は小池氏の大口献金者であり、小池氏の元金庫番の水田氏にも多額の外注費を支払い、奇妙な不動産取引を行っていたと「文春」は告発しているのだ。

 事件が広がりを見せれば、“女帝”小池百合子都知事は無傷ではすまないだろう。

(つづく)

【森村 和男】

(前)
(後)

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