太陽光発電をエサに大金を巻き上げた詐欺会社テクノシスステムの手口~小泉元首相を広告塔に活用、小池都知事に飛び火(後)
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「石川や浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽くまじ」。大盗賊、石川五右衛門の辞世の句だという。たしかに、盗人の種は尽きない。現代では、お金の借り手と貸し手をつなぐソーシャルレンディングが新しい犯罪の舞台になった。太陽光発電を掲げて、うその説明で投資家からお金を集めていた(株)テクノシステムの経営陣が逮捕された。その手口は、政治家を利用する詐欺師の常套手段だった。
SBIソーシャルレンディングが虚偽の説明で資金の出し手を募る
東京地検特捜部が、阿波銀行と富士宮信用金庫からうその書類を提出して計11億6,500万円を騙しとったとして、テクノ社の生田尚之容疑者らを逮捕したのは、“入口”にすぎない。
本命は、菅義偉首相のブレーンの1人で、地銀再編のキーマンと知られる北尾吉孝社長率いるネット金融大手、SBIホールディングス(株)(以下、SBIHD)の子会社SBIソーシャルレンディング(株)(東京・港区、以下、SL)に切り込むことだ。
SBIHDは今年2月5日、ネット経由で投資家から募った資金を事業会社に貸し付ける事業を手がける子会社の案件で、貸付先の企業に「重大な懸案事項」があるとして第三者委員会を設置した。これがテクノ社の詐欺事件が発覚するきっかけになった。
子会社はSBIソーシャルレンディング。SLは2011年から「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれ、借りたい企業と貸したい投資家を結びつけるサービスをはじめた。個人投資家から集めた資金を再生可能エネルギーや不動産案件に貸し付けた。
不正の舞台はテクノ社の太陽光発電や不動産事業。第三者委員会の報告書によると、17~20年に約380億円が貸し出されたが、ほかの事業返済などに約130億円が使われていた。SLは虚偽説明で資金の出し手を募っていたことになる。
東京地検特捜部は4月、金融機関にうその書類を提出して融資金を騙し取った詐欺の疑いでテクノ社の家宅捜査に入り、5月28日生田社長らを逮捕した。
金融庁は金融商品取引法に基づき、SLに業務停止命令を出す方針を打ち出した。これを受けてSBIHDは5月28日、ソーシャルレンディングから撤退すると発表。SLは廃業手続きを行っている。テクノ社は6月中に、東京地裁に法的清算の手続きを執る。負債総額は約150億円で、このうち金融債務が約90億円を占める。
集めたカネはカジノとキャバクラで散財
テクノ社はSLを通じて380億円の資金を集めた。その資金の大半は太陽光発電をはじめとする正規の目的に使われず、複数のトンネル会社を通じて、テクノ社の借入金の返済などに充てられていた。
政治家を広告塔にして金融機関から集めた大金を、詐欺師お決まりの豪遊で散在する。『デイリー新潮』(6月5日付)は、生田容疑者のカジノ狂いをテクノ社元社員から聞き出している。
「生田社長は大のカジノ好きで知られていました。ラスベガス・サンズグループのカジノを頻繁に利用し、毎週末のようにマカオや韓国、シンガポールのカジノに出入りしていたことも。VIPルームに陣取り、1回にベットする金額は数千万円にのぼっていました。負ける額も億単位です」
「わかっているだけでも2018年に3億円以上、2019年前半には2億5,000万円以上の金が、生田社長のカジノ資金として運ばれました。女好きで知られる生田社長は、妻子持ちですが、愛人も5、6人います。キャバクラではお気に入りの女の子の誕生日祝いに一晩で1,200万円も使い、シャンパンタワーにカラオケでバカ騒ぎ。こうした遊興費や愛人の家の家賃も、一部は会社の金から支払われていました」
この程度のチンピラ詐欺師に、小泉純一郎元首相、小池百合子東京都知事、SBIの北尾社長らが手玉に取られていた。世に盗人の種は尽きまじ、である。
(了)
【森村 和男】
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