【東京五輪】枝野代表は“菅五輪”阻止の旗振り役になるのか?
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小池百合子・東京都知事の“五輪中止表明6月1日説”が外れて政権追随姿勢が鮮明になっていくなか、入れ替わるように“菅五輪”阻止の旗振り役になるのかと注目されているのが立憲民主党の枝野幸男代表だ。
告示日が6月25日に迫る東京都議選(7月4日投開票)で五輪を争点化、賛成の自公維が惨敗する一方で反対の野党が躍進すれば、「次期総選挙でも同様の結果となりかねない」といった衝撃を与党議員に与え、五輪中止論が一気に高まる可能性は十分にある。
ちなみに日本政府に五輪中止を求めた全国医師ユニオンの植山直人代表は5月27日の外国人特派員協会での会見で、五輪中止の有効手段について聞かれて「選挙で大敗することを恐れ、与党のなかから(五輪中止の)声が上がること」を挙げた(同日の田中龍作ジャーナル)。
落選の恐怖心を芽生えさせることこそ、菅首相の暴走を食い止める最有力策であり、総選挙の前哨戦である都議選はその絶好の機会なのだ。
しかも「内閣不信任案が出たら即解散だ」(二階俊博幹事長)という展開になれば、都議選と総選挙が連動、“菅五輪イエスかノーか”を都民と国民に同時期に問うことになる。五輪強行反対の民意を追い風に枝野政権が誕生、五輪中止を決断という道筋も現実味を帯びてくるのだ。
そこで6月6日、八王子市の都議選予定候補の事務所を訪ねた後、囲み取材に応じた枝野代表に単刀直入に聞いてみた。
――内閣不信任案提出で解散総選挙となれば、都議選と連動するかたちで「五輪強行反対」を訴えることができて、枝野政権誕生の場合には五輪中止も可能になると思うが、内閣不信任案提出の考えはないのか。
枝野代表 内閣不信任案についてはギリギリまで迷って悩みたいと思っている。この状況下で多くの皆さま、我々も当然だが、この内閣は信任に値しないと思っている一方で、この感染状況下で選挙を迫ることにどの程度のご理解がいただけるのかをギリギリまで見極めたいと思っているが、最終的には明日(7日)、参議院の決算委員会、水曜日(9日)に党首討論があるので、そうした状況を見極めて判断したいと思っている。
――(菅政権の)五輪強行よりも、(不信任案提出で)衆院選を早期に打って五輪中止を訴えた方が国民の理解が得られるのではないか。
枝野代表 そういうご意見があるのも承知しているが、いろいろなご意見がある。
3日後の9日、菅首相との党首討論を終えた枝野代表に同じ質問をぶつけたが、近く野党党首会談を開いて内閣不信任案について協議する考えを示すのに止まった。「3日前に比べて不信任案提出の考えを強めたのか。野党第一党の代表としての考えを聞きたい」と再質問したが、意見を聞く立場と強調して自身の考えを述べることはなかった。
6日の囲み取材では、来日中のインド人五輪放送関係者の歌舞伎町通いについても聞いてみた。
――(6月1日の参院内閣委員会で)杉尾(秀哉)さんが質問していましたが、インド人の報道関係者、五輪(放送)で来日している方が歌舞伎町に夜出入りしていたことの受け止めをお願いします。
枝野代表 報道関係、選手やコーチ以外の皆さんが本当に感染防止のためのいろいろなルールに従っていける保証、担保はあるのかということを政府はきちっと説明する責任があると思う。
――甘い水際対策と行動規制のままだと五輪開催には反対だと。
枝野代表 今の説明されている状況では、感染爆発は避けられないというふうに見ています。
杉尾参院議員が国会で取り上げたインド人報道関係者は、OBS(オリンピック放送機構)のスタッフで、代々木のオリンピック記念青少年総合センターに宿泊。有力筋からの情報提供を受けて杉尾氏は、自由に外食をして歌舞伎町にも出入りしたこと(情報提供の原文は「歌舞伎町で暴れている」)を暴露したのだ。
来日メディア関係者による感染拡大リスクを5月の段階でいち早く指摘していたのが、尾崎治夫・都医師会会長だ。5月17日の本サイトの記事「小池都知事が『五輪中止』を旗印に都議選突入か 都医師会会長も後押し」で紹介した通り、尾崎会長はバブル方式で行動が制限される選手や関係者よりも、来日するメディアやスポンサー関係者の感染症対策が不明確と問題視、よりリスクが高いと見ていたのだ。
「『オリンピック・パラリンピック関係者だけしっかりと対策をすれば大丈夫なのだ』という政府関係者がいますが、私は間違いではないかと思っています」という政府批判をしたのはこのためだ。
こうした尾崎会長の懸念が杉尾氏の国会質問で裏付けられたかたちとなった。先の囲み取材で枝野代表が「(菅政権が)今の説明されている状況では、感染爆発は避けられないというふうに見ています」と危険視したのは当然のことなのだ。
都議選や次期衆院選での構図が浮き彫りになってくる。それは、「“菅五輪”賛成の自公維 対 開催強行反対の野党(立民・共産・国民・社民・れいわ)」というものだ。通常国会最終盤で激しさを増す与野党の攻防から目が離せない。
【ジャーナリスト/横田 一】
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