2024年12月23日( 月 )

枝野立憲民主迷走の背景

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「枝野氏が革新政権の樹立を目指して進むなら、日本の支配者である米国はその構想を潰しにかかるだろうが、守旧政権樹立に進もうとするなら米国は支援する。これが枝野立憲民主党迷走の背景だ」と訴えた6月15日付の記事を紹介する。

野党4党が内閣不信任案を提出した。

自民党の二階俊博幹事長は野党が内閣不信任案を提出した場合には、
「直ちに衆議院を解散する」
と明言してきた。

実際に、野党による内閣不信任案提出が現実味を帯びると発言を変えた。
「解散することを進言する」
に変えた。

解散カードをちらつかせて野党を牽制してきたが、実際に野党が戦闘モードを強めると弱腰に転じている。
野党は解散総選挙を覚悟して内閣不信任案を提出すべきだ。

菅自公政権は国民の命と健康を大切にしない政権である。
コロナ禍の下での五輪開催はリスクが大きすぎる。
このことを踏まえて、日本の主権者国民が五輪の今夏開催に反対している。
もともとは五輪開催に反対でなかった人も、コロナ禍の現状を踏まえて反対している。

菅首相は五輪開催の決定権はIOCにあると発言するが、この発言は主権の放棄を意味する。
日本国内で実施されるスポーツ興行について、開催可否の最終決定権をもつのは日本政府である。

あたりまえのことだ。

菅首相はIOCを隠れ蓑にして、自分の利益のために五輪開催を強行しようとしている。
自分の政治的利益のためだ。
五輪開催を強行し、衆院総選挙、自民党総裁選を乗り越えようとしている。
しかし、この行動は国民の命・健康と自分の損得とを比較して、自分の損得勘定を優先するもの。

五輪開催強行は5万人から8万人の外国人入国をもたらす。
日本に世界各地からコロナ変異株が持ち込まれる。
日本の入国外国人に対する管理はザルである。
特例の上に特例を設けるから、「バブル方式」など幻に過ぎない。

多数の日本国民が入国外国人と接触する。
五輪の宿舎では飲酒が容認される。
コンドームまで16万個も配布する。

この状況下で日本国民に行動抑制を求めても実効性が上がるわけがない。
五輪を推進して国民に行動抑制を求めることに整合性はない。
日本に新しい変異株が流入している。

L452RとE484Q変異株。
東アジア人が持つ免疫能力をすり抜ける可能性が指摘されている。
また、ワクチン有効性が低下することが指摘されている。

米国の定評ある医学専門誌である「ザ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」にアストラゼネカ社製ワクチンの南アフリカ変異株への有効性検証結果が報告されている。

この検証結果ではワクチン有効性が10%とされている。
ワクチンが有効性をもたないということ。
ワクチンが有効でない変異株が出現する可能性はある。

すでに出現していると表現しても過言でない。
ワクチンを接種しても有効でないかもしれない。
一方で、ワクチン接種後に元気だった人が急死する事例が多数報告されている。

厚生労働省はワクチン接種後死亡事例の情報を積極的に開示しない。
厚労省HPのコロナ関連ページを見ても、ワクチン接種後死亡事例についての情報がわかりやすく提示されていない。

何よりも重要な情報。
このような重大事実を隠蔽してワクチン接種を推進することは「殺人」や「傷害」に通じる。

新潟大学名誉教授の岡田正彦氏がわかりやすく「危険な新型コロナワクチン」についての解説を提供されている。
くれぐれもワクチン接種に対しては慎重な検討が求められる。

菅首相が内閣不信任案を提出されても衆院を解散しないなら、菅首相の守勢は鮮明になる。
次期衆院選を通じての政権刷新の可能性は極めて高くなるだろう。

立憲民主党が国民投票法改定案に賛成し、改定に協力したことは立憲民主党支持者への背信行為。

国民投票法では広告規制などに不備がある。
このことが国民投票法制定時から問題だった。
今回の法改定でもこの問題が解消されていない。

この問題を解消して法改正に応じたのなら理解できる。
しかし、問題は解消されていない。

付帯決議に3年をめどに対応することが書き込まれたが法的拘束力がない。
自民党はコロナにかこつけて緊急事態条項を憲法に規定することを目論んでいる。
この緊急事態条項が自民党憲法改定案のなかで最悪の条項だ。

緊急事態条項は、かつてナチスが憲法を改訂し、全権委任法を制定してことと比較される。
権力の暴走をもたらす極めて危険な装置になる。

政府が国会の議決を経ずに、法律と同等の効力を持つ規定を勝手に定めることができるようになる。
国会議員の任期まで延長される可能性が生じる。
独裁政治を生み出す装置になる危険が存在する。

このような危険な憲法改定案が準備されているなかで、憲法改定を確実に前進させる法改定に立憲民主党が加担した。
極めて由々しき事態だ。

政治刷新に「良い政治刷新」と「悪い政治刷新」がある。
政権が変わっても政策が変わらないなら意味がない。

日本の支配者=米国は、政権交代が生じても政策が変わらない政治体制確立を目指している。
自公政治が退いて、第二自公政治が登場する体制の構築を目指している。
米国が支援するから、こちらのほうがたやすい道かもしれない。

枝野幸男氏の行動は、こちらに軸足を移そうとしているためのものとも思われる。
米国の共和党と民主党の体制は、どちらに転んでも大きな変化が生じないもの。
大資本が支配する米国の政治制度は不変。
米国が日本に埋め込もうとしている制度がこれだ。

米国は日本に革新政権が誕生することを警戒している。
このためのせめぎ合いが続いている。
この問題が旧民主党の本質的な問題。

米国が支配する日本、大企業が支配する日本、官僚が支配する日本を維持しようとするのが米国の基本戦略。

日本に革新政権が誕生するのを阻止するためにCIAが創作したのが旧民社党。
民社党の支援母体になったのが大企業御用組合の旧同盟。
この延長線上にあるのが現在の国民民主党と連合六産別。

立憲民主党は希望の党が創設される際のごたごたによって誕生した政党。
瓢箪から駒。

旧民主党が革新勢力と守旧勢力に分離した側面も併せもった。
旧民主党が革新勢力と守旧勢力に分離したのであれば筋が通る。
立憲民主党には革新政党として明確な方針を示すことが求められる。

立憲民主党が革新政党としての基本方針を明確にして、革新勢力が大同団結することが求められる。
そして、日本に革新政権を樹立する。
これを阻止しようとするのが日本の支配者である米国。

枝野氏が革新政権の樹立を目指して進むなら、米国は支援しない。
その構想を潰しにかかるだろう。

枝野氏が革新政権ではなく守旧政権樹立に進もうとするなら米国は支援する。
これが枝野立憲民主党迷走の背景だ。

最終的に決定するのは主権者である国民だ。
立憲民主党が守旧政権樹立を目指すなら、政権刷新を求める主権者は立憲民主党を見放すしかなくなる。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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